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第1242号 再審手続の在り方に関する十分な議論を求める意見書

番号 第1242号 議決年月日 令和6年10月16日
議決結果 可決
再審手続の在り方に関する十分な議論を求める意見書

えん罪は、有罪とされた者やその家族、関係者の人生をも狂わせる国家による最大の人権侵害の一つである。えん罪被害者の人権救済は、人権国家を標ぼうする我が国にとってはもちろん、地域住民の人権を守る義務を有する地方自治体にとっても重要な課題である。
こうした中、本年、全国52の全ての弁護士会において再審法の改正を求める総会決議が採択されたほか、国会では、超党派300名超による議員連盟が結成され、法務大臣に対して再審制度の改正を求める要望書が提出された。さらには、過日、いわゆる袴田事件について、逮捕から58年を経て、静岡地方裁判所が無罪判決を言い渡したところである。
三審制の下で確定した有罪判決について、重大な瑕疵があった場合にはこれを是正し、有罪判決を受けた者を救済する非常救済手続である再審制度については、その手続を定めた法律(刑事訴訟法第4編「再審」)に、再審請求手続の審理の在り方に関する規定がほとんどなく、裁判所の広範な裁量に委ねられており、審理の適正さや公平性が損なわれかねない状態となっている。
特に、再審請求審における証拠の開示については、刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成28年法律第54号)附則第9条第3項において、同法の公布後、必要に応じて速やかに検討を行うものとされているにもかかわらず、今なお制度化は実現していない。
さらに、再審開始決定がなされても、検察官がその決定に対する不服申立てをすることにより、速やかに再審公判手続に移行できず、再審手続が長期化してしまう実情がある。
一方、再審制度については、三審制の下で確定した判決による法的安定性を守りながら、個々の事件における個別具体的な妥当性や是正の必要性との調和点をどこに求めるかという複雑な問題があることから、様々な観点から丁寧な検討を行う必要があるが、えん罪が発生するおそれを払拭することができない以上、再審がえん罪被害者の人権を救済する最終手段であることに鑑み、その制度保障を確固としたものにすべきである。
よって、国においては、上記のような課題を踏まえ、えん罪被害者の早期救済を図るべく、再審手続の在り方について十分に議論するよう強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年10月16日
栃木県議会議長  日向野 義 幸     

内 閣 総 理 大 臣
法   務   大  臣    宛て
衆 参 両 院 議 長


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