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第1238号 地方財政の充実・強化に関する意見書

番号 第1238号 議決年月日 令和6年10月16日
議決結果 可決
地方財政の充実・強化に関する意見書

地方公共団体には、急激な少子・高齢化に伴う社会保障制度の整備、子育て施策、人口減少下における地域活性化対策はもとより、感染症対策、DXの推進、脱炭素化、物価高騰対策、国土強靱化など、極めて多岐にわたり新たな役割が求められている。加えて、急激に進められている自治体情報システムの標準化や多発化する大規模災害への対応も迫られる中、地域公共サービスを担う人員や予算が不足している。
政府は「骨太方針2024」において、2025年度から2027年度までの予算編成に関し、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2024年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することとした。しかし、電気代や物価の高騰、増大する行政需要、また不足する人員体制に鑑みれば、今後はより積極的な財源確保が求められる。
このため、2025年度政府予算また地方財政の検討に当たっては、現行の地方一般財源総額の水準の確保から一歩踏み出し、日本全体として求められている賃上げ基調に相応する人件費の確保まで含めた地方財政の充実・強化の実現を目指すことが必要である。
よって、国においては、次の事項に取り組むよう強く要望する。
                     記
1 社会保障の充実、地域活性化、DXの推進、脱炭素化、物価高騰対策、防災・減災、国土強靱化、地域公共交通の再構築など、増大する地方公共団体の財政需要を的確に把握するとともに、それを支える人件費を重視しつつ、現行の水準にとどまらない、より積極的な地方財源の確保・充実を図ること。
2 子育て施策の充実、地域医療の確保、介護や生活困窮者の自立支援など、より高まりつつある社会保障ニーズが自治体の一般行政経費を圧迫していることから、引き続き、地方単独事業分も含めた、十分な社会保障経費の拡充を図ること。特に、これらの分野を支える人材確保に向けた自治体の取組を十分に支える財政措置を講じること。
3 地方交付税の法定率を引き上げるなどし、臨時財政対策債に頼らない、より自律的な地方財政の確立に取り組むこと。
また、地域間の財源偏在性の是正に向けては、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築を図りつつ、国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な改善を行うこと。
4 政府が減税政策を行う場合、地方財政に影響が出ないよう、その財源は必ず保障すること。その際は、「国と地方の協議の場」を活用するなどし、特段の配慮を行うこと。
5 「地方創生推進費」として確保されている1兆円については、現行の財政需要において不可欠な規模となっていることから、恒久的財源としてより明確に位置付けること。
6 会計年度任用職員においては2024年度から勤勉手当の支給が可能となったものの、今後も当該職員の処遇改善や雇用確保が求められることから、引き続き、その財政需要を十分に満たすこと。
7 自治体情報システムの標準化・共通化に向けては、その移行に係る経費と、移行の影響を受けるシステムの改修経費まで含め、デジタル基盤改革支援補助金を拡充するなど、引き続き必要な財源を保障すること。
また、戸籍等への記載事項における「氏名の振り仮名」の追加など、DXの推進に伴い地方においてシステム改修や事務負担の増大が想定される際は、十分な財政支援を行うこと。
8 地域の活性化に向けて、その存在意義が改めて重視されている地域公共交通について、公共交通専任担当者の確保を支援するとともに、こども・子育て政策と同様、普通交付税の個別算定項目に位置付け、一層の施策充実を図ること。
9 人口減少に直面する小規模自治体を支援するため、段階補正を拡充するなど、地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年10月16日

栃木県議会議長  日向野 義 幸     

内 閣 総 理 大 臣
総   務   大  臣
財   務   大  臣
厚 生 労 働 大 臣
農 林 水 産 大 臣
経 済 産 業 大 臣    宛て
国 土 交 通 大 臣
環   境   大  臣
デ ジ タ ル 大 臣
内閣府 特命担当大臣
(  こ ど も 政 策 )
衆 参 両 院 議 長


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