第76号 (平成14年) 国立大学法人化に伴う宇都宮大学教育学部存続に関する請願
受理日:平成14年8月9日
付託委員会:総務企画委員会
付託日:平成14年9月26日
栗田城
議決日:平成14年10月4日
議決結果:採択
文部科学省は平成十六年四月から国立大学法人化への方向を打ち出しており、それに先立ち、「国立の教員養成大学・学部の在り方に関する懇談会」の報告にある教員養成系大学・学部の大胆な統合・再編が平成十四年度末までにいち早く提示される見通しといわれております。こうした動きは、本県はもちろん我が国の未来を築く基盤である教育そのものを揺るがしかねません。
宇都宮大学教育学部は、近県の教員養成学部と比較して学生数・学部構成教員数が少数であることが指摘されています。
しかし、本教育学部の充実した教育研究機能は、教員養成学部として堅実な活動を進めているだけでなく左記の請願理由にありますように、我が国の教員養成の中にあって、数々の先進的な取り組みを進めており他の県に類をみない成果を挙げています。教員養成担当大学として地元栃木県下の教育機関からの期待が大きく、地元教育界のリーダーとして不可欠な存在として重要な役割を果たしています。
従って、このような本学部の存亡の危機に手をこまねいて座視するだけでは、この事態を打開することはできません。
つきましては、なにとぞ本学部の存続に関する本旨をご理解いただき、貴職の格別なご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
栃木県教育関係団体は、教育学部の存続を強く訴えることは当然として、教育学部のさらなる充実を目指し今後一層の連携と協力を深め、県下教育界の発展に向け努力する所存でございます。
請願理由
一 宇都宮大学教育学部(以下本学部)は教員養成担当大学として、地元栃木県下の期待が高く、栃木県の教育文化の向上に大きな役割を果たしている。本県出身の入学生は六〇%台にあり、通学の利便性、保護者の経済的負担の軽減からも極めて重要な進学先である。
二 本学部卒業生の本県小中教員としての正規採用率は平成十三年度には約四七%に達している。卒業生の県内就職率は約七〇%と高く、地域の人材供給源としても本学部への期待は大きい。
三 本学部に占める女子学生は六〇%台にある。二十一世紀の最重要課題である男女共同参画社会実現のための女子高等教育機関としてもますます期待が高まっている。このことは栃木県の小中学校女性管理職の登用日本一の基盤ともなっている。
四 本学部は現職教員の内地留学生、大学院研究科への受け入れや、大学院授業の履修を促すために他県にはみられない大学の現職教員の昼夜間開講制を実施している。加えて、県内外における諸研究団体への講師派遣等指導助言に果敢なる協力を積極的に行っている。これらのことは、本県教員の資質向上につながり、教育界のリーダーとして本学部の地域貢献度は大である。
五 関東地区で唯一実施している宇都宮大学免許法認定公開講座は、現職教員の内地留学の研修を兼ね本学内のほかに県内数カ所において出前授業を実施し、本県民の生涯教育センターとして大きな役割を果たしている。
六 本学部は国立の教育学部では、全国でも数少ない厚生労働省による「保育士を養成する学校その他の施設の指定」の認定を平成十三年度に受け、幼稚園教育に加えて保育所も含めた就学前教育の振興、保幼小連携、地域の子育て支援に大きな役割を果たすとともに学生の進路拡大を図っている。近県にはない魅力ある教育機関として全国的に注目されている。