第64号 (平成13年) 県の足銀増資協力に関する要請
受理日:平成13年12月5日
付託委員会:総務企画委員会
付託日:平成13年12月13日
議決日:平成13年12月21日
議決結果:不採択
一、足銀は、十月十六日二百五十億円の増資をすること及び県その他の自治体に支援を求めることを発表した。知事は直ちにこれに関連し三億円の公金を投入し、足銀救済に応ずる意向を表明し、県議会も、それを承認する方向であると報ぜられている。私たちは、十一月十一日「足銀問題一一〇番」を実施し、県その他の地方自治体が足銀救済のために税金を投入することの是非について県民の意見を求めた。百十二件の意見が寄せられたが、その後にも、直接の来訪・電話・メール等によって連日のように県民からの意見が寄せられている。
二、寄せられた意見のうち、税金投入に反対とするものが九割、賛成するものが一割の割合であり、賛成するもののうちでも、経営責任の追及・経営体質の改善を条件とするものが七割であった。
ほとんど無条件で足銀の要請に応ずるとするものは極めて少数であった。
三、私たちは、右記結果を踏まえ、県議会に対し、知事の提案を承認しないよう、要請する。その理由は左記のとおりである。
(一) 地方財政法八条に反する。
足銀は、優先株も無配であることを公表した。今回の普通株も当然無配であるだけでなく、大きなリスクを伴うものである。
右記法条は「良好な状態で効果的財産運用」を義務としている。利益にならない、むしろ危険性を伴う賭けは厳に禁止しているのである。
(二) 県が足銀に公金を投入しても、県内中小企業はその恩恵を受けられるものでない。
税金は県内の圧倒的多数を占める勤労者・中小業者の血のにじむ労働の結晶である。その使途は厳に適正でなければならない。
知事は、足銀に対する三億円の投入について「県内企業の安定と発展のため」というが、一昨年の税金投入以来今日までの中小業者の相次ぐ倒産を見ても、むしろ融資に対する消極的姿勢、厳しい取立てが原因となって倒産に追い込まれる事例が多いのである。税金投入が必ずしも中小業者や勤労者の支援になっていないことを示している。
(三) 公金投入に多くの県民が反対しており、県議会はそれを尊重すべきである。
右記のとおり、私たちに寄せられた意見のうち圧倒的多数が反対の意思を表明している。仮りに、県等の自治体が、県民に直接意見を求めた場合でも、結果はほぼ同じであろうと推測される。
足銀の今日を招いた原因の究明と、経営者に対する責任追及のあいまいさ、破綻した県内金融機関との不公平感は県民が等しく抱いている疑問である。確かに議会は足銀の現役員を招き、種々質問し、回答を得ている。しかし、そこには具体的なものは認められない。
私たちは右記のとおり、公金投入に反対である。仮りに、県議会が公金投入を認めるのであれば、多くの県民が望んでいる原因の究明と経営責任の追及、中小業者に対する融資拡大の具体的数値等を、まず明らかにすることを条件とすべきである。
以上により、私たちは県議会に対し、知事の提案に応ずるのでなく、県民の抱く疑問を解明し、県民の意見を広く聞くことをまずすべきであると考え、本要請書を提出する。