第60号 (平成13年) 選択的夫婦別氏制度の早期法制化の意見書の提出を求める陳情
受理日:平成13年9月18日
付託委員会:厚生環境委員会
付託日:平成13年9月27日
議決日:平成15年4月29日
議決結果:審査未了
一、陳情の趣旨
選択的夫婦別氏制度の早期法制化を国に対して強く働きかけるよう特段のご配慮を賜わりたい。
二、陳情の理由
すべての個人が互いに人権を尊重し合い、性別にかかわりなく、個性と能力を十分に発揮できる社会の構築に向けてさまざまな取り組みが行われており、近年においては、多くの分野で女性が活躍できるようになりました。
しかしながら、日本の社会は家制度を中心とした明治民法の名残りもあって、性別による役割分担を前提とする制度や慣行が今でも数多く残されており、女性にとってはまだまだ厳しい社会となっております。
中でも、夫婦の姓については、現在の法律によれば、夫もしくは妻の姓を名乗ることになっておりますが、実際には先に述べたような社会背景から、九五%以上が夫の姓を名乗っているのが現実であります。しかし、姓を変えることによって喪失感を抱く人も多く、改姓を強制されることによって著しい精神的苦痛を感じ、かえって家族関係をゆがめてしまうこともあります。また、婚姻後に仕事を継続する女性にとって改姓することが職業上の大きな不利や負担となるなど、多くの弊害が指摘されております。このことについて、国の法制審議会では平成八年、希望する夫婦が婚姻前の姓を名乗ることのできる「選択的夫婦別氏制度」を盛り込んだ民法改正案要綱を答申しましたが、与党の反対のため法制化は見送られました。その後も議員立法の形で繰り返し民法改正案が提出され、数多くの請願も出されましたが、残念ながら未だ実現しておりません。
このたび内閣府が実施した世論調査によりますと、選択的夫婦別氏を容認する意見が六五%を超え、国民の理解と支持が得られつつあり、また、選択的夫婦別氏制度は、基本的人権の尊重を柱とする憲法の理念にも叶うものであります。
また、日本は先進国の中で唯一選択的夫婦別氏制度を認めていない国であります。国に対して、早期法制化を強く働きかけるよう特段のご配慮を賜りたく要望申し上げます。