第52号 (平成12年) 職員の期末・勤勉手当削減を行わないこと、及び総実勤務時間短縮の徹底を求める陳情
受理日:平成12年12月11日
付託委員会:文教警察委員会
付託日:平成12年12月20日
議決日:平成12年12月27日
議決結果:不採択
一、陳情の要旨
・職員の給与について、期末・勤勉手当の削減を行わないでください。
・総実勤務時間短縮のための具体的な施策を進め、超過勤務をさせないでください。
二、陳情の理由
栃木県人事委員会は十月六日に、本年度の「職員の給与等に関する勧告」を発表しました。この勧告では、給与表の改定を行わず、昨年に引き続き期末・勤勉手当をさらに〇・二ケ月分削減することとしています。この勧告どおりに実施されれば、二年連続の減収となり、私たちはこのような内容を到底容認することはできません。
人事委員会の給与等に関する勧告について、人事委員会は「職員の労働基本権制約に対する代償措置として設けられているものであり、職員にとってほとんど唯一の給与改善の機会となっている」としています。にもかかわらず、賃金改善ではなく、削減を勧告するのでは、自ら示した人事委員会の責務をとても果たしているとは言えません。また、通勤手当などの見直しなども行われ、それによって県民からの信頼も高まったとは思いますが、被服貸与の廃止などは賃金削減に追い討ちをかけるもの、と思えてなりません。勤務時間削減のこととも関連しますが、教職員には四%の教職調整額が支給されてはいますが、超過勤務手当は支給されることはありません。教職員は削減分を超過勤務手当で穴埋めすることもできないのです。
また、総実勤務時間の短縮についての人事委員会の勧告は、一昨年と昨年の内容は以下のとおりでした。
・任命権者においては、事務事業の見直しや定時退庁日の実施等、様々な施策を展開してきており、ここ数年、縮減の傾向がうかがえるものの、いまだ十分と言える状況には至っていないと考える。したがって、業務の計画的・効率的執行、業務配分の見直しや業務そのものの見直し等をさらに推し進め、また、管理職職員が率先して休暇の取りやすい環境づくりに心がけることにより、総実勤務時間の短縮を図ることが必要である。(平成十年勧告)
・総実勤務時間の短縮に向けた取り組みをより実効あるものにしていくためには、引き続き事務の簡素・効率化による勤務時間内の事務能率の向上に努めるとともに、時間外労働にかかる労働基準法改正の趣旨を考慮し、超過勤務の縮減に努める必要がある。具体的には、管理監督の立場にある職員が各職員の業務の進捗状況等を常に把握・監理することはもとより、勤務実態の分析・検証を通じて業務配分を柔軟かつ弾力的に見直すことにより、効率的で機動的な執行体制の確保に努めていくことが重要である。また、管理職員をはじめとする職員一人ひとりの意識改革をより積極的に図るなど、きめ細かな施策を推進する必要がある。一方、年次休暇についても、業務の繁閑に応じた計画的な取得を推進するとともに、取得しやすい環境の整備に努める必要がある。(平成十一年勧告)
にもかかわらず、学校現場はこうした勧告とは無縁な勤務実態が常態化しています。具体的には、
・休憩・休息時間にも児童生徒への対応が要求され、会議なども行われている。教育委員会も「教職員の勤務の特殊性」として黙認している。
・教職員に対しては、教職員会議等を除いて時間外勤務を命じることができないことが法や条例で定められているにもかかわらず、児童生徒への指導、諸会議、授業の準備、テストの作成・採点、評価、通信票や指導要録への記入が時間外に及んでいる。
・年次休暇の取得も、管理職員によっては理由を聞いたり、与えない場合もある。また、女性の生理休暇取得は皆無に近い。
・部活動の指導等で休日も出勤し、手当は四時間程度で一、二〇〇円という超低額である。もちろん、代休は認められない。
・職員の健康診断は、学校保健法によって六月中に行うことになっているにもかかわらず、実施されていない。また、労働安全衛生法の適用もいまだになされていない。
こうした状況の中で、自己の使命を自覚して、眼前の児童生徒に対して真剣な努力を続けているのが本県教職員であり、賃金が二年連続で減少となり、勤務実態が一向に改善されないのでは「高い士気と勤労意欲を保持し(平成十二年勧告)」ていくことは困難です。学校現場にも総実勤務時間短縮の具体的な施策を、今年こそ実施していただきたいと思います。
こうした学校現場の状況や私たちの願いをご理解いただき、どうか、私たちの陳情を採択されますようお願いします。