第46号 (平成12年) 栃木県における小中学校教科書採択制度の改善に関する陳情
受理日:平成12年8月30日
付託委員会:文教警察委員会
付託日:平成12年9月28日
議決日:平成12年10月6日
議決結果:採択
一 陳情の趣旨
小・中学校教育教科書採択事務は、次代を担う子供たちを育てるうえで極めて重要な公務です。
言ううまでもなく教科書採択は教育委員会の最も重要な任務の一つですが、栃木県内における採択の現状は、その制度の趣旨に照らして必ずしも正常に機能しているとは言えない状態となっています。
このような現状を改善し、採択事務の制度・運用を「法の定めに基づき教育委員会自らが決定する」という本来の姿に戻すことが必要です。
この改善のため、栃木県教育委員会におきましては県内の各採択地区市町村教育委員会(採択地区協議会)において次の事項を遵守するように指導・助言してくださいますよう要請いたします。
(1) 「文部省学習指導要領の目標に基づいた内容の比較検討」を基本とすること
(2) 教育委員会の下部機関(教科書調査・研究会等)が答申を行う場合、採択すべき教科書を一種または数種に絞り込むことを行わないこと
(3) 教科書採択に関する教育委員会の会議議事録の公表、採択理由の開示をすること
二 陳情の理由
教科書が小中学校で使用されるまでには検定と採択という手続を経ることになりますが、このうち採択については教育委員会の権限に属しており、教科書採択事務が公正適切に行われることに栃木県民は強い関心をもっています。
小中学校の教科書の採択は各市町村教育委員会が行うことになっており、採択に当たっては採択地区内の市町村教育委員会で構成している採択地区協議会で、地区内の小中学校で使用する教科書を一種選定します。しかしながら、実際には協議会の下に設置される教科書調査・研究会等による答申によって事実上決定されてしまい、採択協議会が形骸化している場合もみられます。
よりよい教科書の選定は、基本に立ち返り「文部省学習指導要領」の目標に基づいた内容の検討がなされるとともに、専門家(教師)に任せてしまうのではなく、普通の良識ある市民が行うべきであるとする、いわゆるレイマン・コントロールの理念に基づき教育委員会自らが主導して行われなくてはならないと考えます。
また、教科書採択の透明性を確保するため、各市町村教育委員会において採択経過の情報開示が行われるよう、県教育委員会において指導・助言してくださいますよう併せて陳情するものです。
なお、私どもは、よりよい教科書が未来を担う子供たちに提供できるよう活動している団体であることを申し添えます。