第43号 (平成12年) 備中沢産業廃棄物最終処分場建設に関する陳情
受理日:平成12年9月1日
付託委員会:厚生環境委員会
付託日:平成12年9月28日
議決日:平成15年4月29日
議決結果:審査未了
一、陳情の趣旨
(一)備中沢産業廃棄物最終処分場建設の白紙撤回
(二)北沢地区不法投棄物等の環境的安全管理対策施工
二、陳情の理由
@産業廃棄物処理の在り方についての問題
一般廃棄物、産業廃棄物を問わずその処分場が必要であることは誰もが認めるところであります。だが廃
棄物処理のあり方については、多くの問題があり全国各地で紛争等を引き起こしております。馬頭町でも例外ではありません。
A未来に押しつける莫大な危険物
産業廃棄物の処分場に対し住民が拒否反応を示すことに対し「ごみは誰もが出している」「処分場はどこかには必要だ」との反論があります。しかし馬頭町の場合、南那須四町の広域組合で一年間に出しているごみの量をはるかに上回る約千百倍の量であり、南那須四町が出す約千百年分のごみが馬頭町の水源地の上流に押しつけられ埋め立てられようとしていることに多くの住民が危惧し反発しているのです。
B代執行を推奨せず問題の据え違いをしている
馬頭の処分場問題は、北沢に不法投棄されたごみが下流の田や水源地を汚染することを心配して撤去しなければならないということからスタートしているのに、なぜ代執行を強く要請しないのでしょうか。処分場を受け入れて、そこに北沢の投棄物を処理してもらうという、この処分場計画は矛盾していることが多く、住民が疑問を感じているのです。
C北沢の不法投棄物は有害性が低いのか関係機関の職務怠慢なのか環境的安全管理対策の施工がなされていない現状
・北沢に不法投棄されてから既に十年間も経っているが、その間に安全管理対策の施工は実施されておらず周辺地域への問題発生も確認されていない。
・定期的に行われた沢水の検査でも一度も有害といえる物は検出されていない。
左記状況において、はるかに危険性の高い処分場を受け入れる理由はどこにあるのか明確にしていただきたい。
D水は命の水、その水源は絶対安全であること
・最も懸念されるのは備中沢の産廃処分場の建設計画の地理的条件、地形的条件が那珂川に隣接し事故が発生した際、水源地汚染の危険性が極めて高く大問題である。
・遮水シートを敷いて産業廃棄物を埋め立てる、この処理のあり方に問題があり、全国各地で事故が発生し紛争を引き起こしている。また遮水シートの安全性は科学的にも立証されていない。
馬頭町の場合、多くの町民が毎日飲んでいる町水道の水源地汚染に直結しているので安全性について完璧でなければならない。国の最新科学技術を駆使した原子力発電所でも、完璧が期待できないことは、最近の事例でも明らかです。まして環境ホルモンで代表的なダイオキシンが多く含まれ、その危険性が分かっているのですから水源地上流に処分場を造ることは絶対に避けるべきだと思います。
E馬頭町の経済的ダメージ
埋め立ての際の粉じんによる大気汚染、それに伴う人体への影響や土壌汚染そして…「栃木県産業廃棄物最終処分場の町、馬頭町」とテレビや新聞で全国に知れ渡ったとき、馬頭町の受けるイメージダウンは計り知れず、その結果、次のような経済ダメージが予想される。
(一) 農業:米や野菜等の地物栽培は価格及び取引の低下さらに停止。
(二) 養殖・畜産業:価格及び取引の低下さらに停止。動植物に環境ホルモンは蓄積増大する。
(三) 観光業:馬頭温泉郷、自然環境施設、観光施設の利用者が低下する。
(馬頭町への立ち寄り回避に発展する可能性あり)
(四) 地場産業:陶業(小砂焼き)、食品加工品等の価格及び取引の低下さらに停止。
また、那珂川の漁業組合への影響も多大で、町の活性化を図るための都市住民の魅力である自然環境を守らなくては、馬頭町全体の経済的マイナス効果は避けられないと思います。
以上の問題を解決するべく、陳情の趣旨を実行して頂きたい。
馬頭町の緑豊かな山々と那珂川の清流を守り、そして馬頭町民の命の水を守ること、そして次の世代へつないでいくことが私たちの義務ではないでしょうか。
このような理由で、備中沢産業廃棄物最終処分場建設の白紙撤回と北沢地区不法投棄物等の環境的安全管理対策施工を決議して頂けるよう、本件同意者の署名を添え陳情いたします。
署名者総数七千四百十九人
町内署名六千十人(有権者署名率五三・五%)
本件は、「馬頭の自然と環境を守る会」「備中沢産業廃棄物最終処分場建設反対同盟」「和見連合自治会」の統一陳情であり、代表を「馬頭の自然と環境を守る会」とする。