第40号 (平成12年) 国民の食糧と地域農業を守るための緊急対策を求める請願
受理日:平成12年8月28日
付託委員会:農林委員会
付託日:平成12年9月28日
齋藤洋三
議決日:平成12年12月27日
議決結果:採択
(請願の趣旨)
日本の食糧自給率は低落を続け、すでにカロリー換算で三九%、穀物自給率にいたっては二六%と低い水準にあり、すでに七千六百万人分の食料を輸入に依存するという異常な事態になっています。
ことに最近の農畜産物の輸入急増には驚くべきものがあります。たとえば野菜の輸入はこの七年間で三.三倍以上になり、一方で、農家の手にする生産者価格はこの十年来の最安値を記録し、農家の経営を圧迫しています。
また、農畜産物の価格が低下しているなかで、価格保障政策が放棄されつつあることも重大です。WTO(世界貿易機関)発足以降、五年間に三百万トン近く輸入されているミニマム・アクセス米や入札の値幅制限の撤廃などによって、米の価格は三割以上も下落し生産費を割り込んでいます。他の大豆やサトウキビ、テンサイなどの価格保障も次々と形骸化されています。
この結果、各地で離農が相次ぎ、この五年間で三〜五割もの農家が離農した品目もあり、展望を失った農家が自ら命を絶つという痛ましい報告も後を絶ちません。いま緊急に対策をとらない限り、食料の安定供給や地域農業は根底から破壊されかねません。
私たちは、国民食料の安全・安定供給の確保と、それを支え地域経済の活性化にも不可欠な地域農業発展のため、このような事態を放置するわけにはいきません。
遺伝子組み換え農産物の全面表示は、消費者の切実な願いであり、世界の流れでもあります。
また、急増する輸入への制限措置(セーフガード)は、WTO(世界貿易機関)のルールのもとでも政府の責任で実施できるものであり、アメリカ、韓国、チリなどもたびたび発動して自国の農業を守っています。また、米の値幅制限の復活は予算措置を必要とせず、価格保障政策の多くも、無駄な土木事業をやめて農業予算を組み替えれば十分可能です。
以上の趣旨から、貴議会が次の施策を実現するよう意見書を採択され、政府・関係機関に働きかけるよう請願するものです。
(請願事項)
一、輸入の急増している農畜産物について、ただちにセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動すること。
一、食料の安全性に関し、当面消費者の選択を保障するため遺伝子組み換え農産物・食品は、全面的に表示すること。
一、自主流通米の値幅制限を復活すること。無駄な公共事業をやめ、農畜産物価格の保障に重点を置いた予算に切り換えること。
一、WTO農業交渉では、ミニマム・アクセス米の廃止など、各国の食料・農業政策を優先した、食料主権を保障する交渉をすること。
以上