第36号 (平成12年) 栃木県における小中学校教科書採択制度の改善に関する陳情
受理日:平成12年2月22日
付託委員会:文教警察委員会
付託日:平成12年3月8日
議決日:平成12年10月6日
議決結果:取下承認
一 陳情の趣旨
小・中学校教育教科書採択事務は、次代を担う子供たちを育てるうえで極めて重要な公務です。
言うまでもなく、教科書採択は教育委員会の最も重要な任務の一つですが、栃木県内における採択の現状は、その制度の趣旨に照らして必ずしも正常に機能しているとは言えない状態となっています。
このような現状を改善し、採択事務の制度・運用を「法の定めに基づき教育委員会自らが決定する」という本来の姿に戻すことが必要です。
この改善のため、栃木県教育委員会におきましては県内の各採択地区市町村教育委員会(採択地区協議会)において次の事項を遵守するように指導・助言してくださいますよう要請いたします。
(一) 「文部省学習指導要領の目標に基づいた内容の比較検討」を基本とすること
(二) 教育委員会の下部機関(教科書調査・研究会等)が答申を行う場合、採択すべき教科書を一種または数種に絞り込むことを行わないこと
(三) 教科書採択に関する教育委員会の会議議事録の公表、採択理由の開示をすること
二 陳情の理由
教科書採択事務が公正適切に行われることに栃木県民は強い関心をもっています。
現行七社の中学校社会科歴史教科書を文部省学習指導要領を基準にして評価しますと著しく偏向しています。偏った思想のもとにつくられた教科書が検定に合格していることは誠に遺憾であります。
残念ながら、今できることは検定に合格した教科書の中から学習指導要領を基準にして「よりまし」な教科書を採択する道しかありません。
栃木県内の全八採択地区での採択状況は、偏向の度合いが大きい教育出版、東京書籍の教科書が三採択区で、相対的にみて偏向の度合いは少ないものの記述内容に多くの問題点をもつ日本文教出版の教科書が五採択区で採択されています。
よりよい教科書の選定は、専門家(教師)に任せてしまうのではなく、普通の良識ある市民が行うべきであるとする、いわゆるレイマン・コントロールの理念に基づき教育委員会自らが主導して行われなくてはならないと考えます。
なお、私どもは、偏向教科書を是正し、よりよい教科書が未来を担う子供たちに提供できるよう活動している団体であることを申し添えます。