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請願・陳情 議決結果一覧

詳細情報

請願・陳情名

第28号 (令和07年) 栃木県特別支援教育推進計画に則った実践的指導力の向上を求める陳情書

受理年月日

受理日:令和7年12月3日

付託委員会

付託委員会:文教警察委員会

紹介議員

議決結果


内容

要  旨
一 陳情の趣旨

令和6年8月に栃木県教育委員会(以下、県教委とする)は、「特別支援教育の充実に向けた方針」を掲げ、着実に取り組みを進めている
と思います。しかし、栃木県特別支援教育推進計画に則った実践的指導力の向上を求めるにあたり、知的障害特別支援学校への寄宿舎指導員配置に関して、寄宿舎指導員の人員不足及び、知的障害特別支援学校に寄宿舎が無くなったことで実践的指導を行う場がないという課題が生じています。これにより、持続的な教育の取り組みが困難であると考えます。県教委が求める寄宿舎教育の知見を活かした教育の充実を目指すのであれば、寄宿舎指導員の増員並びに知的障害特別支援学校における寄宿舎教育の実践の場の確保を要望いたします。

二 陳情の理由

那須特別支援学校並びに栃木特別支援学校の寄宿舎が閉舎となり、県教委は、県内すべての知的特別支援学校において寄宿舎教育の在り方を踏まえ、児童生徒の自立を目指すために、卒業後の生活を見据えた教育の取り組みを活かすべく、寄宿舎指導員を知的特別支援学校へ配置する方針を示しています。
第408回県議会では、卒業後の福祉を含めた実社会とのつながりを見据えた特別支援教育の取り組みについての議論がありました。障害者に関する法律が近年改正され、支援の在り方や社会参画の姿が変化する中で、県教委が今年度取り組んでいる宿泊学習棟を活用した宿泊学習は、まさに卒業後の生活に直結する重要な取り組みであると考えます。
しかし、残念ながら今年度限りの取り組みとなっているうえ、利用児童生徒には条件が課せられ、一部の児童生徒に現定された実践となっています。「スクールハウス」と称されたこの教育は、卒業後のグループホームや福祉施設等での生活を想定した場合、極めて意義のあるものと評価できます。仮に実社会に適した教育を進めていくのであれば、軽度の児童生徒に限らず、中程度・重度の児童生徒にも特性に応じた形で「スクールハウス」を活用できる体制が求められます。
令和8年度からは、すべての知的障害特別支援学校で寄宿舎指導員(生活学習指導員)が授業に参画することになりますが、県教委の報告によれば令和7年度の寄宿舎指導員数は暫定で正規34名 (令和6年度は48名、令和2年度は51名)と減少しています。盲学校、聾学校、のざわ特別支援学校における寄宿舎運営に加え、知的障害特別支援学校で寄宿舎指導員資格を有する生活学習指導員を複数名配置することを考えると、現状では指導員数が不足することは明らかです。
また、寄宿舎指導員の採用試験は平成30年度を最後に実施されておらず、将来的に継続性のある教育体制に不安が残ります。ティームティーチングの意義である「教師の長所を活かし、児童生徒一人ひとりにきめ細かい指導を行う」ためには、単独配置ではなく複数名で支え合える集団教育力が不可欠です。現状のままでは、特別支援教育推進計画・第3「教育の基盤整備」に掲げられた「学校運営体制の充実」に照らして、整備が十分とは言えません。
第408回県議会における特別支援学校の環境整備に関する質疑では、「寄宿舎閉舎の反省を活かし、計画を明確に示す必要がある」「迅速と唐突は異なる」との意見が出されました。寄宿舎教育を活かした特別支援教育を発展させるにあたり、それが継続的な取り組みなのか、一過性の施策なのか、県教委の方針が明確でないことは大きな問題です。
特別支援教育は特別支援学校に限らず、通常の学校においても保障されるべき教育であり、教育に関わる全ての教職員に求められるものです。社会・福祉情勢が変化する中、特別支援教育は一層重要な課題となっています。迅速な対応が求められる一方で、教育目的を「きめ細やかな指導」「実践的指導力の向上」と掲げるのであれば、丁寧で計画的な進め方が不可欠です。
栃木県特別支援教育推進計画には大いに期待しております。また、栃木県特別支援教育推進計画 (2026 – 2030)(案)のバブリックコメントの実施により、教職員、児童生徒、保護者、地域住民が学校教育の在り方を共有して考える契機となることを期待します。
栃木県議会におかれましては、知的特別支援学校寄宿舎閉舎を契機とした特別支援教育の在り方に関する議論を深めていただいていることに、心より感謝申し上げます。

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