第19号 (平成11年) 「陸上自衛隊宇都宮駐屯地に対する第六地対艦ミサイル連隊配備」及び「陸上自衛隊北宇都宮駐屯地に対する空中機動旅団化計画」の拒否を求める陳情
受理日:平成11年9月6日
付託委員会:総務企画委員会
付託日:平成11年9月29日
議決日:平成11年12月24日
議決結果:不採択
(陳情の趣旨)
従来の日米安保体制を「専守防衛」から、米軍の引き起こす戦争に自動参戦していく「攻撃型」の軍事同盟に変質させた周辺事態法の成立以降、日本の軍事大国化が強く懸念されていた。
その矢先、奇しくも周辺事態法の施行日翌日の八月二十六日、防衛施設庁は、陸上自衛隊宇都宮駐屯地に「第六地対艦ミサイル連隊」を配備する計画を明らかにした。
地対艦ミサイルは、有効射程距離が百数十キロにも及ぶ巡航ミサイルであり、山腹を迂回したり、洋上を低高度で飛行するなど、敵のレーダーにも捉えられにくいハイテク兵器である。しかも日本の中心部に位置する第六連隊では、全国各地に増援としても展開できる戦略機動部隊としての位置付けも付加されていると聞く。さらに計画では、同連隊専用の整備工場が建設されるなど、本格的な改編が意図されており、現在駐屯している部隊は編成が変えられたり、別の駐屯地への移動が実施されるという。
こうした大がかりな改編は、周辺事態法が強制している「米軍の後方支援」を宇都宮駐屯地が請け負うために実施されることは明白だ。もし、この度の計画が具体化に移されれば、好戦的な米軍の意のまま、近い将来宇都宮の街が地対艦ミサイルの拠点となることを意味する。それは同時に「敵」の攻撃目標に宇都宮がさらされることをも意味する。
すでに、隣の北宇都宮駐屯地でも「空中機動旅団化計画」が実施され、戦闘用ヘリコプターの配備が目論まれている。二〇〇〇年から始まるこの計画では、騒音や振動、墜落事故など、現在基地の島・沖縄に暮らす住民が味わっている様々な被害が、ここ宇都宮にもたらされるのではないかと懸念されているところだ。
かつて、日本陸軍第十四師団の司令部がおかれ、中島飛行機製作所の軍用機製造工場が操業していた「軍都」こそ宇都宮であった。軍都・宇都宮は敵の攻撃目標とされ、宇都宮空襲によって多くの尊い人命が奪われ、また、街も焼け野原と化した歴史を忘れてはならない。
住民の生命と、財産を守ることは自治体の使命である。
よってここに、宇都宮駐屯地への「第六地対艦ミサイル連隊」の配備及び、北宇都宮駐屯地への「空中機動旅団化計画」を拒否することを要請する。
(陳情事項)
一、宇都宮駐屯地への「第六地対艦ミサイル連隊」の配備及び、北宇都宮駐屯地への「空中機動旅団化計画」を拒否すること。
二、自衛隊基地強化につながるあらゆる情報を防衛庁・防衛施設庁などから収集し、地域住民への情報開示に努めること。
三、度重なる自衛隊基地の強化は、周辺事態法など、先の第一四五回通常国会で成立した新ガイドライン関連法によってもたらされることは明白である。よって同関連法の廃棄を国に強く求めていくこと。