第8号 (令和02年) すべての医療機関・保険薬局・介護事業所に対し緊急に前年実績比の減収分を補填するよう国へ意見書提出を求める陳情
受理日:令和2年8月11日
付託委員会:生活保健福祉委員会
付託日:令和2年9月28日
議決日:令和2年10月9日
議決結果:不採択
要 旨
【1】陳情の趣旨
今般の新型コロナウイルス感染症に対する貴職のご尽力に敬意を表します。
現在、感染拡大の第2波と思われる状況が続いています。医療・介護現場のひっ迫した状況はこのまま放置すれば医療・介護崩壊につながります。国の責任による迅速かつ大規模な経済対策が必要です。全ての医療機関、保険薬局、介護事業所に対し、緊急に前年実績比の減収分の補填を行うよう政府への意見書提出を切にお願いいたします。
【2】陳情の理由
新型コロナウイルス感染症拡大をふまえて第2次補正予算が成立しました。医療・福祉の提供体制の確保に2兆7,179億円の予算が確保され、昼夜奮闘してきた医療従事者等への慰労金が盛り込まれたことは評価できるものです。しかし、喫緊の課題である医療機関への損失補填・財政支援については、資金繰り支援であり補正予算額はわずか365億円にとどまりました。6月末に支払われる4月診療分の減収分を「概算前払い」するもので、その補填分は7月の診療報酬の支払い分から差し引かれて返金することになります。
この間、全国の医療機関、歯科事業所、保険薬局、介護事業所において、新型コロナウイルス感染症に立ち向かい、昼夜分かたぬ奮闘を続けてきました。重症者や中等症の患者の治療を行う病院はもちろん、疑似症患者の入院受け入れや帰国者・接触者外来、発熱外来などにとりくんできた病院や診療所、地域の日常診療を支える病院・診療所や歯科診療所、保険薬局、介護事業所など、すべての医療機関等が新型コロナウイルス感染症とのたたかいの最前線で奮闘してきました。
しかし、3月、4月は自粛要請や、感染への不安などから外来患者数や利用者数は減少し、引き続き5月6月も減少傾向で、すぐには回復しないとの見通しもあります。多くの医療機関において外来患者数が前年比で2〜3割減となり、収入減によって資金ショートを引き起こしかねない状況に追い込まれています。全日本民主医療機関連合会の医科法人の調査においても、約半数が上半期のうちに、4分の3の法人は年内の資金不足が危惧されています。医療福祉機構などによる緊急融資も、あくまでも借入金であり将来への過大な返済負荷となります。今般政府が提示した4月診療分の減収に対する「前払い」も新たな借金のようなもので、到底今の医療機関の経営危機を解決する方策にはなり得ません。介護事業所の利用者減も事業収益減をもたらし、事業所の継続に深刻な困難が生じています。
以上のことから、政府の責任で、すべての医療機関、保険薬局、介護事業所に対し、緊急に前年実績比の減収分の補填を行うよう、意見書の提出を行うことを陳情するものです。