第28号 (平成29年) 栃木県単保育補助事業の改善に関する陳情
受理日:平成29年9月11日
付託委員会:生活保健福祉委員会
付託日:平成29年9月27日
議決日:平成29年12月18日
議決結果:採択
要 旨
1.陳情の趣旨
(1)1歳児担当保育士増員費の補助単価の改善を求める。
(2)食物アレルギー対応給食提供事業の補助単価および補助率の改善を求める。
(3)食物アレルギー対応給食提供事業の対象定員枠の撤廃を求める。
2.陳情の理由
「1歳児担当保育士増員費」について
1歳児の発達課題は、基本的信頼と安心感を育み心の土台を形成することです。保育園の生活では、保育士に依存しつつ、クラスの仲間たちと遊びや生活をともにすることで相手を知り、自分自身の心を太らせて育ちます。かたことの言葉も豊富になり歌もうたうようになります。
また、1歳児は歩行を獲得していくなど身体発達を飛躍させる時期です。乳児より行動範囲が広がるため、転ぶなどして怪我をしないよう、一時も目を離すことができません。なんでも「ジブンデ!」したいという自立心も旺盛になります。くつを履く、着替え、トイレなどへの援助では、その子のやりたい思いを受け止め、その子が満足できるような支えが必要です。1歳児保育は熟練した保育士の配置ならびに増員が不可欠です。
児童福祉施設最低基準(国)は、1歳児6名に対して保育士1名の配置基準です。栃木県は、1歳児6名を保育士2名で保育している私立保育園ならびに私立認定こども園に対し、増員した保育士の人件費に対して補助金を支給し支えています。補助負担率は、県1/2、市町1/2です。
しかし、1歳児担当保育士増員費の補助単価は、126,000円/月、時給換算では約750円です。保育士不足の現在、この補助単価では保育士の確保は困難です。したがって、私立保育園ならびに私立認定こども園は、保育士を確保するために賃金を上乗せして保育士の募集をしています。
近年、特に1歳児の申し込が急増しています。1歳児を多く受け入れ保育士を増員している施設ほど経営に負荷がかかるという補助事業の構造です。
「食物アレルギー対応給食提供事業」について
児童福祉施設最低基準(国)では、150名定員まで調理員等の配置が2名です。私立保育園ならびに私立認定こども園の栄養士・調理員は、安全で豊かな地域の食文化を伝え子どもの心と身体を育む最も基本的で重要な役割を担っています。「食物アレルギー対応給食提供事業」を支えに調理員を1名増員することで、食育の推進、離乳食やアレルギー食への対応等を進めることが可能になります。
しかし、補助単価は1歳児担当保育増員費と同額の126,000円/月、時給換算では約750円です。補助負担率は、県1/4、市町1/4、園2/4です。したがって「食物アレルギー対応給食提供事業」を支えに調理員1名を増員する私立保育園ならびに私立認定こども園は、補助単価の50%の自己負担に加えて実際に調理員を雇用するための賃金上乗せ分の負担を強いられる補助事業の構造です。
また、補助要綱では、90名定員以上とあるため、それ以下の定員の私立保育園ならびに私立認定こども園は対象外です。アレルギー児は90名以下の施設にも存在していますので事業の目的に鑑み90名定員以下の保育園も対象にするよう改善が必要です。
10,370名分の署名を添えて提出します。