第26号 (平成29年) ペットに対する罰則付きの受動喫煙防止条例を制定することに関する陳情書
受理日:平成29年7月7日
付託委員会:生活保健福祉委員会
付託日:平成29年9月27日
議決日:平成29年10月10日
議決結果:不採択
要 旨
・ペットに対する罰則付きの受動喫煙防止条例を制定するように求める。
近年、国内外においてペットに対する受動喫煙の問題が社会問題となってきており、米英をはじめとした欧米諸国を中心にペットに対する受動喫煙の被害に関する研究結果が多数発表されております。
周知のように、タバコにはタール・一酸化炭素・ニコチンなどの有害物質が数多く含まれており、肺がんや喉頭がんなどの各種のがん、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などに加えて、乳幼児の喘息・呼吸器感染症・乳幼児突然死症候群等の様々な疾病の原因となることが国内外の医科学的な知見により確立されております。
また、人間よりも体積が小さく嗅覚の優れた犬や猫などのペットが、多数の有害物質を含むとともに強い刺激臭を発するタバコの煙を吸わされることによって、人間以上に深刻な身体的・精神的な健康被害を受ける可能性があることは医科学的にも容易に判断することができます。
しかしながら、現在の我が国におけるペットに対する受動喫煙防止対策としては、環境省が平成22年2月に発行した「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」や地方自治体のホームページ等において、ペットに対する受動喫煙の害について注意喚起している程度であり、国・地方自治体は法的拘束力のある対策を講じているとは言えない状況にあります。
よって、タバコの有害性を認識しておらず、自らの意思で受動喫煙の被害を回避することができないペットを一刻も早く救済する必要があると思料されることから、動物愛護管理法第2条(基本原則)及び第3条(普及啓発)の趣旨に基づき、ペットにタバコの煙を吸わせないように罰則付きの条例を制定するよう求めます。
最後に、厚生労働省によると受動喫煙による年間の死者数は交通事故死者数(約4千人)の約4倍となる約1万5千人となっていることから、相当数のペットが受動喫煙により死亡又は病気になっていると推測されます。したがって、可及的速やかな対策を講じるように求めます。