第9号 (平成27年) 法曹養成制度の抜本的見直しを求める意見書に関する陳情
受理日:平成27年6月9日
付託委員会:県政経営委員会
付託日:平成27年6月17日
議決日:平成27年10月13日
議決結果:採択
要 旨
1.陳情の趣旨
別紙「法曹養成制度の抜本的な見直しを求める意見書」(案)のとおり、法曹養成制度に関する意見書の採択をし、同意見書を国に提出するよう陳情します。
2.陳情の理由
平成14年3月に閣議決定された「司法制度改革推進計画」による司法試験合格者の増員と司法修習生への修習費用の給費の廃止は、弁護士数のみを不均衡に増加させるとともに、新規登録時点での多額の負債を生じさせ、そのため有意の法曹希望者が法曹の道を断念し、ひいては国民に対する必要な法的サービスを提供しえない事態を招来するものとなっています。この問題は紛争の適正な解決による自由かつ公正な社会の実現という司法の危機をもたらすものであり、看過できないものと考えます。
これまで全国複数の議会で改善への意見書を採択していただいておりますが、貴議会においても、同種意見書の採択をされるよう意見書案及び資料を添付したうえで陳情するものです。
法曹養成制度の抜本的な見直しを求める意見書
政府は、平成14年3月、今後も法的需要が増加し続けるものとの見込みの下に、当時年間1000人程度であった司法試験合格者数を、平成22年頃には年間3000人程度とすることなどの目標を掲げた「司法制度改革推進計画」を閣議決定した。
その後、平成19年以降、司法試験合格者は毎年2000入超で推移してきたが、法的需要は想定されたほど増加せず、また本計画において必要な増員を行うとされていた裁判官及び検察官はむしろ減員されて今日に至っている。
そのため、平成13年に約1万8000人だった弁護士数は、平成26年5月には、約3万5000入超となり、裁判官及び検察官数との不均衡が顕著となっている。
また、司法修習期間の短縮や、法曹として自立するために必要な経験を積む機会が十分確保されないことによる弁護士の資質低下が危倶され、さらに、司法修習生に対する修習費用の「給費制」が、「貸与制」に移行したことにより新規に登録した時点で多額の負債を抱える弁護士が多数生じている。
このような事態は、有意の法曹希望者が法曹の道を断念し、ひいては国民に対する必要な法的サービスを提供し得ない事態を招来するものであって、紛争の適正な解決による自由かつ公正な社会の実現という観点からも看過できない事態である。
よって、国においては、法曹人口の不均衡を是正するために裁判官及び検察官の増員を行うとともに、今後あるべき法曹人口を検討するにあたり、速やかに司法試験合格者数を相当程度減らした上で法的需要を踏まえた適正な法曹人口の検討を行うとともに、司法修習生に対する更なる支援の検討を強く求める。