第3号 (平成27年) 国の教育予算を増やして「高校無償化」を復活し、給付制奨学金の確立を求める陳情
受理日:平成27年5月26日
付託委員会:文教警察委員会
付託日:平成27年6月17日
議決日:平成27年6月26日
議決結果:不採択
要 旨
1.陳情の趣旨
以下のことについて、国に意見書を提出してください。
・「高等学校等就学支援金」への所得制限をやめて「高校無償化」を復活すること。
・「奨学給付金」を拡充して、高校生への給付制奨学金を確立すること。
2.陳情の理由
2014年4月の高校入学生から「高校無償化」への所得制限が導入されました。
これは、「あなたの学びを社会全体で支えます」という「高校無償化」制度の理念を根本から変更して、「原則無償」から「原則有償」へと制度を大きく後退させるものです。それは、高校生や父母、国民に対する約束違反であると同時に、政府2012年に留保を撤回した、中等教育の漸進的無償化を定めた国際人権規約に違反する、世界への約束違反でもあります。
導入1年目となった2014年度には、「就学支援金」「奨学給付金」などの紛らわしい名称による保護者の誤解、4月・7月など複数回の申請が必要とされたこと、そのたびに違う年度の課税証明書がの提出が求められ、一人親世帯の個人情報に係わる記述も大きな問題となりました。私たちは文部科学省に対して、上記の問題点等について、職場からの要望や都道府県教委調査結果を踏まえた改善を要求してきましたが、一人親世帯の理由の記載の簡略化(チェック式)、生徒・保護者の記載を信用することを原則として個別の証明書等を求める必要はないなど、2015年度に向けた若干の手続の改善が行われました。しかし、実質的な給付制奨学金となった「奨学給付金」については、自治体に丸投げしているため、申請の時期や保護者への通知等で自治体ごとによって大きなばらつきが生じており、給付が年明けになった自治体もあります。また、その財源が年収910万円以上の世帯の高校生から徴収した授業料であることが大きな問題として残っています。
権利としての学ぶ権利を保障するため、世界にも例のない「高校授業料への所得制限導入」は直ちに中止し、教育予算を増やした上で、「高校無償化」を復活し、「奨学給付金」を拡充して給付制奨学金を確立していくことが求められます。
以上の理由から、国に対する意見書を提出してください。
国の教育予算を増やして「高校無償化」を復活し、給付制奨学金の確立を求める意見書(案)
2014年4月の高校入学生から「高校無償化」への所得制限が導入されました。
これは、「あなたの学びを社会全体で支えます」という「高校無償化」制度の理念を根本から変更して、「原則無償」から「原則有償」へと制度を大きく後退させるものです。それは、高校生や父母、国民に対する約束違反であると同時に、政府が2014年に留保を撤回した、中等教育の漸進的無償化を定めた国際人権規約に違反する、世界への約束違反でもあります。
導入1年目となった2014年度には、「就学支援金」「奨学給付金」などの紛らわしい名称による保護者の誤解、4月・7月など複数回の申請が必要とされたこと、そのたびに違う年度の課税証明書が必要とされ、一人親世帯の個人情報に係わる記述も大きな問題となりました。私たちは文部科学省に対して、上記の問題点等について、職場からの要望や都道府県教委調査結果を踏まえた改善を要求してきましたが、一人親世帯の理由の記載の簡略化(チェック式)、生徒・保護者の記載を信用することを原則として個別の証明書等を求める必要はないなど、2015年度に向けた若干の手続の改善が行われました。しかし、実質的な給付制奨学金となった「奨学のための給付金」については、自治体に丸投げしているため、申請の時期や保護者への通知等で自治体ごとによって大きなばらつきが生じており、給付が年明けになった自治体もあります。また、その財源が年収910万円以上の世帯の高校生から徴収した授業料であることが大きな問題として残っています。
権利としての学ぶ権利を保障するため、世界にも例のない「高校授業料への所得制限導入」は直ちに中止し、教育予算を増やした上で、「高校無償化」を復活し、「奨学給付金」を拡充して給付制奨学金を確立していくことが求められます。
よって、以下の事項を実現するよう強く要請します。
1.「高等学校等就学支援金」への所得制限をやめて「高校無償化」を復活すること。
2.「奨学給付金」を拡充して、高校生への給付制奨学金を確立すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣 宛
財務大臣
総務大臣