第29号 (平成25年) 狂犬病予防対策の強化に関する陳情
受理日:平成25年11月21日
付託委員会:生活保健福祉委員会
付託日:平成25年12月3日
議決日:平成26年3月25日
議決結果:採択
要旨
1 陳情の趣旨
(1) 海外における発生状況等の実態を把握し、国民に向けた正しい狂犬病の知識と予防法の普及啓発など注意喚起の施策強化を行うとともに、飼い主に対しては狂犬病予防注射の必要性を様々な媒体を活用して呼びかけるなど、飼い犬の狂犬病予防注射率の向上にむけた啓発を強化するよう国に意見書を提出するよう求める。
(2) 国内に侵入した動物の狂犬病発生を早期に発見するため、国が実施主体となり、平常時におけるモニタリング調査などの監視体制の整備・運営を行うよう国に意見書を提出するよう求める。
2 陳情の理由
世界保健機構(WHO)によれば狂犬病による死者数は、毎年、世界で5万5千人以上にのぼり、その内3万人はアジア地域です。現在、狂犬病の清浄国・地域は、日本をはじめオーストラリア、ニュージーランド、ハワイなど極めて限られた地域です。日本では、その恐ろしさから昭和25年に狂犬病予防法を制定し、飼い犬の狂犬病予防注射を義務付ける等、撲滅に努めてきました。その結果、昭和32年以来国内での発症はありませんでしたが、昭和45年にネパールからの帰国者1名、平成18年には、フィリピンからの帰国者2名が発症し死亡しております。本年に入り、狂犬病の清浄国であった台湾において、犬と野生動物のモニタリング調査により、52年ぶりに野生のイタチアナグマ3頭が狂犬病と7月に確定診断され、11月現在で220頭が確定診断されています。犬では8月に1頭の発症が確認されました。これは、決して対岸の火事ではありません。
一方、北海道をはじめとする一部の地域では、寄港する外国船舶で飼育されている犬の逃亡により国内への犬等の狂犬病の侵入が懸念されるなど、狂犬病がいつ国内で発生しても不思議ではない状況にあります。狂犬病は発症すると100パーセント死亡する治療法のない死の病であり、ひとたび発生すれば大混乱に陥ることは明らかであり、大変危惧するところです。
(公社)栃木県獣医師会は、狂犬病の流行を防ぐため、今日まで行政機関と連携して予防注射率の向上に努めてまいりました。しかし、狂犬病の国内侵入が危惧されるなか、国民の狂犬病に対する関心を高め飼い犬の予防注射率を向上させることが、ますます重要となっております。
また、狂犬病の発生の拡大とまん延防止を図るため、平常時における動物のモニタリング調査は、狂犬病の早期の発見の有効な監視システムとなります。
よって、趣旨のとおり陳情するものです。