第7号 (平成23年) 地方消費者行政充実のための国による支援に関する陳情
受理日:平成23年11月25日
付託委員会:生活保健福祉委員会
付託日:平成23年12月6日
議決日:平成24年3月23日
議決結果:採択
要旨
第1 陳情の趣旨(要旨)
栃木県議会が、国会及び政府に対し、地方消費者行政を充実させるため、地方消費者行政に対する国による実効的支援を求める意見書を提出することを採択していただくよう陳情致します。
第2 陳情の理由
1 国による地方消費者行政に対する実効的な財政措置の必要性
現在、国による地方消費者行政の充実策が内閣府消費者委員会から建議され、今後消費者庁においてその具体化が図られることになっています。他方で、地域主権改革の議論が進む中、地方消費者行政に対する国の役割・責任が不明確となることが懸念されます。
もとより地方自治体が独自の工夫・努力によって消費者行政を充実させることは当然ですが、これまで消費者行政を推進する中央官庁が存在しなかったこともあり、消費者行政に対する地方自治体の意識や体制にはあまりにも格差があります。加えて、地方自治体が担っている消費者行政の業務の中には、相談情報を国に集約するパイオ・ネットシステムへの入力作業や、違法業者に対する行政処分等、国全体の利益のために行っているものも少なからず存在します。現在、国からの支援として、地方消費者行政活性化交付金、住民生活に光を注ぐ交付金が存在しますが、いずれも期間限定の支援に留まっており、相談員や正規職員の増員による人的体制強化等継続的な経費への活用には自ずと限界があります。
したがって、国は地方消費者行政充実のために継続的かつ実効的な財政支援を行うべきです。
2 具体的な制度設計の提示の必要性
すべての自治体が身近で専門性の高い消費生活相談窓口を整備するためには、国があるべき相談窓口の姿について一定の目安を示す必要があると考えられます。他方で、自治体によっては単独での消費生活センターの設置が困難なケースもあるため、国は、小規模な市町村がよりスムーズに消費者行政の強化を行うことができるよう、都道府県と市町村とが広域的に連携して相談窓口を設置する方策など、地方自治体にとって取り組みやすい制度設計を具体的に示す必要があります。
3 消費生活相談員の地位・待遇の向上を可能とすることができる制度整備の必要性
消費生活相談窓口を現場で担っている消費生活相談員は、期限付きの非常勤職員の扱いが大半であり、その地位の安定と専門性の向上を図ることが困難な状況にあります。その待遇も、消費生活相談業務の専門性に見合ったものとは言い難い現状にあります。
住民が安心して相談できる消費生活相談窓口を実現するためには、消費生活相談員の専門性の向上とともに、その地位の安定、待遇の改善に向けた制度の整備も重要です。現状では、非常勤の立場で安定的に勤務できる任用制度がないため、この点について手当する必要がありますし、正規職員でない形態で常勤的に勤務する任用制度の整備も望まれます。そのためにはその職種の専門性に着目した専門職任用制度を新たに整備する必要があります。
4 結び
以上の理由により、消費者の安心な生活を確保するために、地方消費者行政を充実させるという観点から、貴議会に陳情致します。