第47号 (平成22年) ネオニコチノイド系農薬の使用実態調査とその公表を国に求める陳情
受理日:平成22年9月21日
付託委員会:農林環境委員会
付託日:平成22年9月30日
議決日:平成23年4月29日
議決結果:審査未了
要旨
1 陳情の趣旨
ネオニコチノイド系農薬の害が、ミツバチだけでなく、人の健康への被害があることがわかってきました。被害を防ぐにも、何に 何処で どの位 使われているのか明らかにされていません。栃木県では9月に、「〜つなごう いのちの共生を いま「とちぎ」から〜」(生物多様性とちぎ戦略)が策定され、名古屋では10月に、生物多様性条約国際会議が開催されます。人と生態系への被害を防ぐために、先ずは環境中での使用実態を調査し公表するよう、国に対して、意見書の提出をお願いいたします。
2 陳情の理由
近年、有機リン系農薬に代わって使用量が増えているネオニコチノイド系農薬は、林業(松枯れ防止に散布)、農業(稲・果物・野菜)、ガーデニング花・芝生、ペットのノミとり、シロアリ駆除、建材の防腐など国内で広く使われています。
ヨーロッパでは、使用規制が始まっていますが、日本の対策は遅れ食品の残留基準(EUの10倍〜50倍)があるのみです。生物多様性基本法(H20.6.6)第十六条2には「国は、生態系に係る被害を及ぼすおそれがある化学物質について、製造等の規制その他の必要な措置を講ずるものとする。」、第十九条2には「・・・事業活動に係る生物の多様性への配慮に関する情報の公開・・・その他の必要な措置を講ずるものとする。」とありますが、環境中での使用実態は明らかにされていません。生物多様性国家戦略・とちぎ戦略においては、里山の保全を重視していますが、保全活動に携わる人々の健康が危惧されます。
被害は、すでにミツバチだけではなく、人の健康への被害(中毒症状:群馬県青山医師報告:2009.9 日本中毒学会総会にて優秀演題賞受賞)がでており、また河川源水での残留も確認されています。栃木県でもミツバチへの被害(*1)が出ています。
*1「都道府県別の養蜂状況と農薬によるミツバチ被害状況」20106.25「てんとう虫情報」反農薬東京グループ発行
当会主催の学習会(H22.6.6)講師:群馬県の青山美子医師は、ネオニコチノイド系農薬には水溶性・浸透性・残効性があり、精神・神経・免疫疾患を誘発し、ハチ毒性・哺乳類にも作用すると症例をもとに話され、増え続ける患者に苦悩する日々から、特に子どもたちへの健康被害を懸念しています。
私たちの身の回りには、田畑があり、通学路、市民農園利用時、住宅の垣根、公園、学校などでの農薬散布や地域一斉の除草剤散布に悩まされているものがいますが、さらに事態は深刻であると受止めました。ネオニコチノイド系農薬の被害を防ぐために、何に 何処で どの位 使われているのか使用実態を調査し公表するよう、国に対して意見書の提出を求める陳情書を提出しました。よろしくお願い致します。
* ネオニコチノイド系農薬の種類・用途
有効成分(商品名) … 用途など …開発企業名
@ イミダクロプリド(アドマイヤー、メリット)
…野菜の定植時に植穴処理 アブラムシ、
コナジラミ、ミナミキイロアザミウマなどの長期的防除 …バイエル
A アセタミプリド(モスピラン、マツグリーン、イルダーSC、アリベル)
…果樹、野菜などのコナガ、ツトガ、アブラムシ、
タマゾウムシシロアリ駆除、松枯れ対策 …日本曹達
B ジノテフラン(スタークル) …カメムシ、ウンカ、コナジラミ、アブラムシ、シロアリ駆除 …三井化学
C チアメトキサム(アクタラ) …アブラムシ、コンジラミ、コナガ、ハモグリバエなど防除
…シンジェンタ
D ニテンピラム(ベストガード) …稲のウンカ、野菜のアブラムシ、動物用医薬品 …住化武田農業
E クロチアニジン(ダントツ) …カメムシ、ヨコバイ、アブラムシ、ミカンハモグリガなどの防除
…住化武田農業、バイエル
* ネオニコチノイド系農薬の特徴
・植物の根や茎葉から植物体内に移行し蓄積され洗っても取れない。
・土壌、水中に長期間残留する。
・ハチ毒性がある。
・ネオニコチノイドは脳内に入りやすく、主に脳のニコチン様アセチルコリン受容体に作用する。自律神経失調(動悸、手の振るえ)、物忘れ、不眠、うつ、他に不整脈、食中毒をおこす
・ネオニコチノイド被爆を証明する物質が患者の尿から検出されている。
・胎児発達毒性がある