第114号 (平成11年) 労働行政の充実・強化をはかる旨の意見書採択を求める陳情
受理日:平成11年3月1日
付託委員会:経済企業委員会
付託日:平成11年3月4日
議決日:平成11年4月29日
議決結果:審査未了
日頃より、地方自治の発展と地域の活性化、住民生活向上のためにご尽力いただくとともに、労働行政への御理解、御協力を賜っていることに深く感謝申し上けます。
さて、一月二十六日、中央省庁等改革推進本部は「中央省庁等改革に係る大綱」を決定し、今国会において中央省庁等改革に係る関係法案の提出を行うこととしています。労働行政においては、昨年六月に成立した中央省庁等改革基本法によって労働省と厚生省を統合し、労働福祉省を創設することとされ、設置法案関係大綱が決定されるなどの具体化が進められています。労働福祉省下にあっても、憲法で定める労働権を保護するために、最低労働条件の確保、安定した雇用の確保、雇用の場における機会均等の確保などを担う労働行政の重要性はいささかも変わるものではありません。労働行政のこうした意義と重要性に鑑みれば、職業安定行政、労働基準行政、女性少年行政がそれぞれ担っている行政の独自性・専門性を堅持するとともに、各行政間の連携を一層緊密にすることが強く求められています。
完全失業率が四%を超える状況が続き、公共職業安定所には職を求める人々が早朝から列をなしています。労働基準監督署にも、突然の倒産や解雇、賃金不払いなど深刻な相談が、また、女性少年室には職場における男女差別解消を求める声が、数多く寄せられています。
こうした状況の中でいま必要なことは、スリム化・効率化の名の下に労働行政を縮小・後退させるのではなく、労働者・国民、事業主の要望に迅速に応えられるよう、国の直接責任として労働行政の機能を充実・強化することです。しかし、決定された「大綱」によると、国家公務員の数を二〇〇〇年度から十年間で二五%削減することが明記されています。
わが国の労働行政は、諸外国に比べても非常に少ない職員数で遂行されており、このことが今日の労働行政に対する社会的要請に十分に応えきれない大きな要因となっています。したがって、労働行政職員数の大幅な削減によっては、行政サービスの大幅な低下を招き、地域社会の要求や公正・公平な行政を後退させる方向が強まることは必至です。
また、「大綱」で示された独立行政法人制度は、行政の企画・立案部門と業務実施部門を分離して効率的な行政運営を図るとされているものですが、労働行政は中央・地方が一体として各種政策の実施や労働保険などの分野が総合的に運営されて初めて効率的に行われるものです。現在の労働行政は、拡充・強化の方向こそが必要であり、独立行政法人化を初めとする減量化・スリム化の余地はありません。
こうした事情をご賢察いただき、地方自治法第九九条第二項の規定に基づき、労働行政の減量化、スリム化反対、労働行政の充実・強化を求める旨の意見書を採択していただき、政府・総務庁・労働省にご送付いただくよう陳情するものです。