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請願・陳情 議決結果一覧

詳細情報

請願・陳情名

第87号 (平成18年) 認定こども園の認定基準改善に関する陳情

受理年月日

受理日:平成18年11月27日

付託委員会

付託委員会:厚生環境委員会
付託日:平成18年12月8日

紹介議員

議決結果

議決日:平成18年12月18日
議決結果:不採択

内容

1 陳情の趣旨
児童福祉法第1条は、「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない」「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」としています。また、第2条は、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」とし、児童育成の公的責任を明確に打ち出しています。同第24条では、「・・・児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申し込みがあったときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない」と、児童の保育を受ける権利を明確にしています。
「認定こども園」についても上記児童福祉法が守られ、その趣旨が生かされなければならないのは当然ですし、現行の保育所の水準を引き下げることになってはならないと考えます。その点、今回県が示した「認定基準(案)」については「水準の引き下げ」につながる点があり問題です。どうか、県議会に於いて慎重審議の上、改善を図られるようお願い申し上げます。

2 陳情の理由
(1)職員配置基準について
まず、現在の配置基準でさえ低すぎます。
・低月齢の0歳児は、突然死・災害時避難等の問題、また、事故等もおきやすく危険度が高いのは周知の事実です。また、1歳児は1歳半の節を越える月齢であり、歩行や食事等の確立も不完全さを残しています。丁寧な対応がその後の育ちを決める重要な時期です
 現行基準の、3:1や6:1の改善が必要です。当面、1歳は3:1、2歳は5:1の職員配置が最低必要です。
・3歳〜5歳について(案)では「共通時間」が35:1の配置になってしまいます。家庭から園に来る子どもたちのなかには排泄の自立をしていない子もいます。35:1の配置では十分な保育は絶対にできません。自然に触れ、それぞれの発達にみあった力を獲得していくための園外保育(散歩)などは不可能です。探検心が盛んな3歳児は、散歩先でも一人で探索に出てしまう危険性が強く20:1では安全も図れません。当面、3歳は10:1、4歳・5歳は15:1の職員配置が最低必要です。(ヨーロッパ諸国では、8:1〜10:1)
・常勤かつ専任の職員(担任)・嘱託医の配置、は評価できます。調理員についてはカッコ内(調理業務の委託、外部搬入・・・) は削除すべきです。アレルギー問題をかかえる子どもの増加、食の乱れ、「食育」の重要性が指摘される現在、子どもたちにとって真心のこもった調理はどうしても必要です。
・その他、看護士・栄養士・用務員・事務職など、こどもたちの発達のため不可欠な職員配置についても考慮して下さい。
(2)施設設備について
・「既存施設から転換する場合は、いずれかの基準で可」とありますが、今の基準でも狭いのに、狭い基準のままの園ができないようにすべきです。保育室等について、認定こども園になることで、従前の基準が下がってもいいことになるのは許せません。
・調理室、医務室の設置は評価できます。しかし、調理業務の委託、外部搬入は認めるべきではありません。
(3)子育て支援について
・「保護者の就労の有無にかかわらず、教育、保育、子育て支援を実施できるものとする」とした趣旨は重要です。実は子育て支援の問題は、「認定こども園」の問題をこえた国独自の大きな課題ではないでしょうか。
 当面次のことが必要と考えます。
・相談のための専用室(電話相談もふくめプライバシーがまもられるもの)、集うための専用室、一時保育室などの設置が必要。
 また、それぞれ専任の職員確保を義務づけてほしい。 (4)管理運営について
・園と保護者の直接契約、保育料の自由設定等、は自治体の公的責任を後退させるものです。また、保育料は誰でもが支払える程度に廉価であることを基本とし、やむをえない場合は、必要に応じて年収によって調整する「応能負担原則」を堅持すべきです。
・保護者の収入によって、保育の差が生じることは児童福祉法の理念に反します。収入の少ない家庭の子が、保育に欠けていても保育が提供されないことがあってはなりません。
・園への入所について「公正な選考」はもとより、「保育に欠けるこどもの、申し込み・入所・選考漏れ」などは自治体に対して報告することを義務づけるべきです。
・管理運営についての県独自基準(案)の第一項目(・・・経済的基礎を有し、不正な行為をする恐れのないもの云々)の意味が不明です。この項目は必要ないと思います。
 現在、子どもたち・保護者の方々・そして私たち福祉労働者をとりまく状況は大変厳しいものがあります。特に、子どもたちには現代社会の矛盾が集中していると言っても過言ではありません。保護者の就労の有無にかかわらず、豊かな仲間集団や育つ環境が必須です。県当局はどうか、十分な予算を確保し新しい制度に命を吹き込んで下さい。よろしくお願いいたします。

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