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請願・陳情 議決結果一覧

詳細情報

請願・陳情名

第113号 (平成11年) 介護保険制度の抜本改善に向けた国への意見書採択を求める陳情

受理年月日

受理日:平成11年3月1日

付託委員会

付託委員会:厚生環境委員会
付託日:平成11年3月4日

紹介議員

議決結果

議決日:平成11年3月12日
議決結果:不採択

内容

 陳情事項
 介護保険制度の実施に向けて、以下の内容での抜本改善を図るよう地方自治法第九九条第二項に基づいた国への意見書を採択・提出してください。
一、「いつでも、だれでも、どこでも」必要な介護が保障されるよう新ゴールドプランの早期達成とともに新たな基盤整備目標を設定し、その推進のための国の財政措置を講ずること。
二、介護保険給付総額に対する国庫負担割合を引き上げ、保険料・利用料の減免制度を設けるとともに、自治体の裁量権を認めること。また、保険料滞納に伴う制裁措置を持ち込まないこと。
三、要介護認定基準に、家族の状況や住環境などの「生活の状況」、及び「本人の希望」を加え、生活面からも介護サービスを保障すること。
四、施設介護・居宅介護サービス事業者の指定基準並びに介護報酬は、@利用者に身体的な介護だけでなく生活面でも十分な援護ができるような職員配置基準、A介護職員に一九九三年に政府が公示した「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的なな指針」の水準を最低指標とした賃金・労働条件の保障、を基本にして設定すること。
五、特別養護老人ホームは、介護保険実施後も高齢者の「生活保障施設」として位置付け、発展させること。
六、特別養護老人ホーム入居者が、必要な医療を安心して受けられるように入院しても三カ月間は在籍を保障し、病状が回復すれば施設に帰ることができる現行制度を継続すること。
七、市町村による「保健福祉事業」に対する国庫補助制度を導入し、介護保険事業とは切り離して、充実させること。
八、これらの改善とあわせ、すべての自治体での十分な実施体制が確保できない場合には、介護保険制度の実施時期を延期すること。
 陳情趣旨
 高齢者の介護問題は一層深刻になり、高齢者・家族の介護不安を解消することは一刻の猶予もできない事態になっています。
 ところが、二〇〇〇年四月の実施を前提に多くの問題点を棚上げしたままで成立した介護保険制度は、施行準備作業の進行とともに危惧されたとおりの重大な欠陥と問題点を持っていることが浮き彫りになっています。
 問題点の第一は、介護サービスの基盤整備の立ち遅れです。介護保険実施時までに達成をめざすとされる新ゴールドプランでは、仮にすべてが到達したとしても厚生省が想定する在宅サービス需要の四割ほどを満たすにすぎません。また、「ほぼ達成した」とされる特別養護老人ホームについても引き続き八万人を超える入所待機者を残したままです。しかも、こうした水準の新ゴールドプランをも七割の市町村は「達成困難」だとしており、全国市長会のアンケートでも、実施時に要介護認定に見合うサービスが「確保できる」とした自治体は二・一%にすぎません。このままの状態で実施を迎えることになれば、まさに「保険料を払ってもサービスがない」というたいへんな状況になりかねません。
 第二には、高額な保険料と利用料の問題です。国の試算による保険料は導入時月額二六〇〇円程度とされているものの、高齢化率の高い地域ではかなり高額な保険料が予測され、市長会のアンケート結果でも国の見込み通りの保険料で「運営できる」との回答はわずか六・六%です。介護給付額の一割という利用料も重大です。特養ホームの現入居者で、利用料と日常生活諸費をあわせた六万円前後の費用を払えない人は七割にのぼり、現行のホームヘルプサービス利用者の内、八割以上が無料から有料になります。保険料の滞納によって給付制限という制裁があり、努力して保険料を払っても、今度は利用料が払えなければサービスが受けられないということになります。
 第三は、要介護認定基準とも関わった特別養護老人ホームの役割の問題です。現在示されている介護認定基準は、身体機能(ADL)中心で高齢者の生活上から必要とされる「要介護」は、ほとんど認められていません。こうした認定基準では、現在、特養ホームに入居している人も介護サービスの対象から外されることになりかねません。また、特養ホーム入居者が病院に入院した際に、介護保険給付の打ち切りと退所が強要されることになれば、入居者は必要な医療を受ける権利すら奪われることになりかねません。
 第四は、特養ホーム等の介護サービス事業の運営と職員の待遇を決定づける介護報酬の問題です。ほとんどの介護サービスは、人によるサービス(人的サービス)であり、介護労働者の質と労働条件がサービス内容を大きく規定することは明らかです。住民が求める良質の介護サービスを提供するためには、住民(利用者)参加によるサービス評価基準の策定や情報公開の徹底などとあわせて、専門職にふさわしい賃金や労働条件の保障や指定基準に盛り込む職員配置基準の改善が不可欠です。また、経営上の問題から事業者が利用者を選別する(逆選択)という事態を避ける上でも、介護報酬と切り離した運営費の公費保障などの導入も求められています。
 以上のような理由から、介護保険制度の抜本的改善によって、介護保障への住民の切実な願いが実現できるよう貴議会のご尽力を切望し、陳情するものです。

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