第67号 (平成18年) 「公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める意見書」提出に関する陳情
受理日:平成18年1月30日
付託委員会:総務企画委員会
付託日:平成18年3月3日
議決日:平成18年3月20日
議決結果:不採択
1.陳情の趣旨
次の事項を内容とする意見書を採択のうえ、政府に提出いただくよう陳情します。
(1)くらしや安全に関わる国や自治体の責任を全うするため、市場化テストをはじめとする公共サービスの民間開放を安易に行わないこと。
(2)画一的な公務員の純減は止め、公共サービスの改善や水準を維持するために必要な要員を確保すること。
2.陳情の理由
政府は、「小さな政府」を口実に、公共サービスの民間開放と公務員の純減を進めています。しかし、効率ばかりを優先させた建築確認の規制緩和、民間開放が耐震強度偽装事件を招いたと指摘されるように、国民の安全やくらしに直結する業務の民間開放には慎重な対応が求められます。いま、政府が導入を急いでいる市場化テスト(官民競争入札)は、民間の要望をもとに、効率化の観点から国と地方のあらゆる業務を対象に競争入札を強要するものです。
国民・住民のくらしや安全に対する国や自治体の責任や公共サービスの内容についての論議は不十分なままに制度化が進められており、単に企業のもうけの場を作りだすだけの結果になるとの懸念は消えていません。
また、そのような民間開放と一体で、公務員の純減目標値が決定されています。そしてその純減は、直接サービスを提供する分野や出先機関がターゲットとされており、公共サービスの質と量における地域間格差が広がることが危倶されます。
不安定雇用や低所得者層の増大、地域間の格差があらゆる面で拡大するなど、格差社会が急テンポで広がっているもとでは、雇用や安全、社会保障などでの国の役割発揮が重要であり、民営化や地方切り捨てによる「小さな政府」では国民の安心・安全が損なわれてしまいます。
したがって、公共サービスの安易な民間開放や市場化テスト(官民競争入札)は導入せず、また、画一的な公務員の純減は行わず、公共サービスの充実を図ることが必要だと考えます。そのため、以上の点を踏まえた意見書を採択のうえ、政府に提出いただくようお願いします。
以上
公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める意見書案
政府は、「小さな政府」を口実に、公共サービスの民間開放と公務員の純減を進めている。しかし、建築確認の民間開放が耐震強度偽装事件を招いたと指摘されるように、国民の安全やくらしに直結する業務の民間開放には慎重な対応が求められる。政府が導入を急いでいる市場化テスト(官民競争入札)は、民間の要望によって国と地方のあらゆる業務を対象とする制度であり、住民のくらしや安全に対する国や自治体の責任が果たせず、行政サービスが企業のもうけの場にされる懸念がある。
また、公務員の純減は、国の行政や自治体においても住民に直接サービスを提供する分野や出先機関がターゲットとされており、公共サービスの質と量における地域間格差が広がりかねない。
不安定雇用や低所得者層の増大、地域間の格差があらゆる面で拡大するなど、格差社会が急テンポで広がっているもとでは、雇用や安全、社会保障などでの国の役割発揮が重要であり、地方切り捨て、民間開放による「小さな政府」では国民の安心・安全が損なわれることになる。行政の効率化によって、住民の利便性や権利保障の後退を招くことがあってはならない。真の地方分権を確立する自治体財政の確保を含め、国民生活のナショナルミニマムに対する国の責任を果たす
ため、以下の事項の実現を強く求める。
記
1.くらしや安全に関わる国や自治体の責任を全うするため、市場化テストをはじめとする公共サービスの民間開放を安易に行わないこと。
2.画一的な公務員の純減は止め、公共サービスの改善や水準維持のため、必要な要員を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
意見書送付先
内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
総務大臣 竹中 平蔵 殿
財務大臣 谷垣 禎一 殿
行革担当大臣 中馬 弘毅 殿