第29号 (平成15年) 教科書改善に関する意見書の提出を求める陳情
受理日:平成15年11月20日
付託委員会:文教警察委員会
付託日:平成15年12月5日
議決日:平成17年12月19日
議決結果:取下承認
陳情の趣旨並びに理由
戦後の教育において個人の権利、自由を尊重するとともに社会や国のあり方を考えることをおろそかにしてきたため、社会の秩序、伝統を軽視して規範意識を低下させています。このことは今日の青少年の道徳、倫理観の低下を示す非行・犯罪の増加と深く関係することであると思われます。
青少年の倫理観の低下の大きな原因が戦後の教育にあるとの認識に立ち、教育政策を策定することは喫緊の課題であります。
社会科の歴史教科書の編纂は学習指導要領の目標・内容に沿って、子どもたちに自国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てることを最重点事項として行われるべきであります。
しかしながら、全国で使われている歴史教科書は文部科学省の検定を通っているものの偏った歴史観によって記述されているところが少なくありません。詳しく調べてみると、民主主義、個人の自由、権利の尊重、世界のグローバル化への対応など中立を装いながら、歴史的には既に破綻している特定の思想(階級闘争史観、東京裁判史観など)で全編が貫かれていることが明らかです。
このように歴史教科書を偏向させた原因は種々錯綜していますが、とりわけ、昭和五十七年の教科書検定に当たってのマスコミによる誤報事件に伴い設定された近隣諸国条項によるところが大きいと考えられます。この条項を盾にして近隣諸国から、我が国の歴史教科書の内容に関して干渉と圧力がかけられ、明らかに誤った歴史記述までもが強いられています。この条項の設定のいきさつ、弊害の大きさからみて早急に抜本的な見直しを行い、削除すべきであると考えます。
A会(会長B氏)は近隣諸国条項の削除などを求める署名活動を進め、既に三十三万人以上の署名を集めています。
このような状況に鑑み、本県議会におかれましては、政府ならびに国会に対して歴史教科書改善に関して次の事項の見直しを求める意見書を提出して下さるよう要望いたします。
(一)教科書検定基準中の「近隣諸国条項」を早急に見直し、削除を行うこと。
(二)教科書検定に当たっては、学習指導要領の目標・内容に沿った記述をしているかを最重要視すること。すなわち、自虐史観、階級闘争史観、東京裁判史観に偏ることなく、我が国の文化、伝統、公正な歴史を適切に表現し、国民として誇りをもてる観点を重視すること。
(三)教科書の採択事務の遂行に当たっては、仮にも特定の思想をもつ団体の干渉や圧力を受けることがあってはならず、教育委員会の権限と責任において採択手続が粛々と進められるように静謐な環境を確保すること。
(四)教科書検定制度の見直しに当たっては、公正・中立を確保するため、委員、審議経過等について情報公開を行い、透明性を担保すること。