第108号 (平成11年) 聴覚障害者の社会参加を制限する欠格条項の早期改正を求める請願
受理日:平成11年2月23日
付託委員会:厚生環境委員会
付託日:平成11年3月4日
真田富美子
議決日:平成11年3月12日
議決結果:採択
一、請願の要旨
医師法、薬剤師法など医事・薬事関係法を中心に
「耳が聞こえない者、口がきけない者」を絶対的欠格事由に規定し、個々の能力も事情も一切関係なく、一律に免許や資格の取得が認められていません。
また、著作権法や公職選挙法では、間接的に聴覚障害者の社会参加を制限しています。
「完全参加と平等」を求める聴覚障害者にとって、『法の壁』による苦痛と不利益は甚だしいものがあります。
貴議会におかれましてはノーマライゼーションの理念に基づき、その全面改正の必要性を決議し、国へ要請してください。
二、請願事項
(1)医師法、薬剤師法など医事・薬事関係法では『耳が聞こえない者、口がきけない者』を絶対的欠格事由と規定していますが、聴覚障害者の社会参加を促進する観点から、個々の障害の程度、業務遂行能力を検討し、手話通訳等必要な支援策を配慮する方向で、資格や免許の付与を講じるべきです。
以上について、その必要性を決議し、国へ要請してください。
(欠格条項を規定している法令)
@医師法 A歯科医師法 B薬剤師法
C診療放射線技師法 D臨床検査技師、衛生検査技師に関する法律 E視能訓練士法
F言語聴覚士法 G歯科衛生士法
H義肢装具士法 I臨床工学技士法
J救急救命士法 K保健婦助産婦看護婦法
L毒物及び劇物取締法 M道路交通法
N検察審査会法
(2)以下の法律は、結果として、聴覚障害者の社会参加を制限していますので、一日も早い改正を国へ要請してください。
@視覚障害者へは本や雑誌の点字化の自由が認められていますが、著作権法二十条では、映画やテレビ番組を録画したビデオテープに手話通訳や字幕をつけて聴覚障害者へ普及する自由を認めていません。このため、聴覚障害者はテレビ番組を自由に享受し、情報を獲得して生活向上に利用する活動が制限されていますので、著作権の特例を認める法的措置を図ってください。
A公職選挙法百五十条では、候補者のテレビ政見放送はそのまま放送することを規定しており、聴覚障害者のために手話通訳や字幕をつけることは認めていません。このため聴覚障害者が候補者の政見を知る機会が制限されており、参政権は保障されていません。参政権は憲法で保障された国民の権利であり、政見放送を聴覚障害者が理解できるよう条文を改正してください。