第20号 (平成15年) 教育基本法見直しについて慎重な取り扱いを求める意見書の提出に関する陳情
受理日:平成15年8月26日
付託委員会:文教警察委員会
付託日:平成15年9月26日
議決日:平成15年10月6日
議決結果:不採択
(陳情の趣旨)
中央教育審議会は、二〇〇三年三月二十日、「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興計画のあり方について」の答申を行いました。答申は、「二十一世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成を目指す観点から、重要な教育理念や原則を明確にする」ため、新らたに規定する理念に「公共の精神、道徳心、自立心の涵養」「郷土や国を愛する心」なとを挙げ、教育基本法を改正すべきであるとしています。
しかし、中教審の審議過程で、教育基本法の改定によって教育の課題が解決できるのか、といった重要な問題をめぐって議論が尽くされたとは考えられません。また、「郷土や国を愛する心」などを法律ですべての人に強いることは、憲法で保障された思想良心の自由に抵触するおそれがあります。
教育基本法は、準憲法的な性格を有していることから、そのあり方については広範な議論を通して国民の合意形成をはかるとともに、国会に「調査会」などを設置して対応する必要があると考えます。
教育振興基本計画については、教育が「未来への先行投資」としてその重要性が指摘されているにもかかわらず、この間十分な予算措置が行われておりません。日本の教育予算のGDP(国内総生産)比は、OECD諸国と比較しても最も低くなっています。何よりもまずこの点を是正し、少人数学級の実現や遅れている教育条件整備を進める必要があります。そのため、教育基本法第十一条を根拠として、別の法律を制定することで対応すべきであると考えます。
二十一世紀の子どもたちの教育のために、教育基本法の精神・目的を堅持しつつ実効性のある教育改革をすすめることが必要です。教育基本法の見直しについては、慎重な取り扱いを求めます。
(陳情事項)
教育基本法の見直しについて、慎重な取り扱いを求める意見書を衆議院及び参議院に対して提出すること。