第7号 (平成15年) 「栃木県はAが計画している板荷砂利採取場跡地の残土埋め立てを許可しないこと」を求める陳情
受理日:平成15年6月12日
付託委員会:厚生環境委員会
付託日:平成15年6月20日
議決日:平成16年3月24日
議決結果:取下承認
陳情の趣旨
残土埋め立て予定地は鹿沼市の水源である黒川の上流にあり、しかも地形的には黒川に接し大雨のときなど周辺の山から大量に水が流れ出すところで、黒川の汚染の危険が極めて高く、残土埋め立てには適さず、栃木県は許可すべきでない。
陳情の理由
私たちは、緑豊かな美しい山々に囲まれ、黒川の清流に育まれ、魚たちや小鳥たちと共に生活してきました。うまい米を作れるのも、井戸水や水道水が飲めるのも、黒川の清流のおかげです。ところがAは、平成十二年二月、黒川の上流板荷地区の砂利採取場跡地に、「建設残土埋め立て」の許可申請を県に提出しました。
計画では、総面積三五、八七一u、土砂などの量六二一、四〇〇m3、一日十トン車ダンプで五十台、五年間で十万台という大規模な事業です。さらに、二次計画として同規模の事業が計画されています。残土は北関東一円から運び込まれるというものです。
この事業を計画しているAは、三十年近く山を崩し、砂利を掘り続けてきました。その間ずっと、ハッパの振動によって近くの住宅地では家のたてつけが悪くなったり、赤ん坊の寝付きが悪くなったり、飛び散った岩石や砂埃の被害に遭い、また砂利を洗った泥水は黒川を汚してきました。敷地内に不法に埋められた廃棄物は、周辺の環境を悪化させてきました。また西側の削り取られた山の勾配は違法ではないかと指摘されるほど急勾配でところによっては垂直に削り取られ、後々の落石などの危険を予期させます。どう弁解しようとも、企業の利益を優先させ、地域住民の生活環境や自然環境を犠牲にしてきたのです。
今回Aが計画している残土埋め立て事業では、残土といっても捨てるところのない、捨て場に困った残土が運び込まれます。ここに運び込まれる残土は遠く関東一円から高い運賃を使い、しかも料金を支払って捨てていく残土です。また、残土の中にどんなものを混ぜて埋め立ててしまうか分かりません。私たちはこうなったときの黒川の汚染を危惧し、不安や心配をぬぐい去ることができないのです。
黒川は鹿沼市の水源になっている大切な川です。埋め立て予定地となる場所は、この黒川の上流で、大雨のときなど周辺の山から大量に水が出るところです。地形的に危険な場所なのです。さらに、狭い道路に増えるダンプなど交通問題、粉塵や悪臭などの環境問題と、不安は募るばかりです。十五年前、Aはこの場所に、安定型の産廃処分場を計画しました。しかし、黒川の汚染を心配する多くの鹿沼市民の反対で計画を断念した経緯があります。残土埋め立てと姿を変えていますが、黒川の汚染への不安や心配に変わりはありません。
平成十二年二月のAの残土埋め立て許可申請提出後、私たち板荷・菊沢西地区自治会は、九月には許可反対の陳情書を県議会に提出しました。また翌年十三年三月には、板荷・菊沢地区をはじめ、鹿沼市黒川流域の自治会の協力も得て、約二八、〇〇〇名の反対署名を提出しました。また、この時期、鹿沼市議会へ提出した埋め立て反対の請願が採択されました。
さらに、黒川漁業協同組合・鹿沼市土地改良事業協議会・鹿沼市農業委員会はそれぞれ残土埋め立て反対を決議し、知事に許可しないよう要望書を提出しております。
私たちは現地調査の中で、敷地の一角に、大量の廃棄物が埋められているのを見つけ出しました。会社に掘り出すことを約束させました。国や県の指導で掘り起こしました。また私たちはその作業を交代で監視しました。大量のタイヤ、つぶれた自動車や農機具、壊れていらなくなった機械類、生活用品から廃材まで、たくさんのゴミが山積みにされ運び出されました。その後も試堀をする度に、タイヤや農機具などが出てきました。現在も続いている状況です。
私たちは、鹿沼市の水源、井戸水や農業用水、環境浄化など、生活に欠かすことのできないこの黒川の清流が、いつまでも清流であることを願い、子々孫々にわたり禍根を残さぬよう残土埋め立てには断固反対します。私たちは、Aに対し「残土埋め立て計画」を撤回するよう強く要請します。
栃木県は、この残土埋め立て予定地が、鹿沼市の水源である黒川の上流にあり、しかも黒川に接した地形的に水の汚染を引き起こす恐れのある危険な場所であることと、Aのこの砂利採取場で行ってきたこれまでの事業状況や敷地内の廃棄物不法埋め立てや汚水の垂れ流しの実情、及び社会的に問題視されている産廃等の業界の実情に鑑みて、Aの残土埋め立て計画に対し、許可しないよう強く要請します。