第87号 (平成14年) WTO農業交渉等に関する陳情
受理日:平成14年11月26日
付託委員会:農林委員会
付託日:平成14年12月12日
議決日:平成14年12月20日
議決結果:採択
WTO農業交渉は、来年三月末のモダリティー確立に向けて、交渉は山場を迎えつつあり、わが国は、「多様な農業の共存」を基本に、「市場アクセス」分野や「国内支持」の分野において、農業の多面的機能を含む貿易以外の関心事項の配慮を強く求めております。
一方、アメリカやオーストラリアを中心とする農産物輸出国グループは、全ての関税を二五%以下に削減することや、輸入数量の大幅な拡大提案を行っています。しかし、こうした提案は、貿易以外の関心事項への配慮を無視するとともに、先のドーハ閣僚宣言の内容からも逸脱しており、我われとして到底受け入れられるものではありません。
仮に、アメリカやオーストラリアなどの提案内容を基本としたモダリティーが確立されるような事態になれば、わが国を含む世界の家族農業は、崩壊の危機に直面し、農産物貿易は一部の大輸出国や多国籍企業に牛耳られることは明白です。このため、我われは、こうした提案を断固拒否しなければなりません。
また、わが国と他国との間で、自由貿易協定に向けた検討が開始されていますが、自由貿易協定は関税撤廃を基本とするものであり、WTO農業交渉におけるわが国提案内容を十分踏まえた対応が必要なことは言うまでもありません。
つきましては、生産者が将来に自信を持って営農できるよう、下記事項について意見書を採択し関係当局に対し提出いただきたく、特段のご配慮を賜りますようお願いいたします。
記
一、WTO農業交渉について
(一) 「多様な農業の共存」というわが国提案の基本を達成できるよう、農業の多面的機能などの「非貿易的関心事項」が配慮されたモダリティーを確立すること。
(二) アメリカやケアンズ諸国の提案を断固拒否するとともに、MA制度の是正を含む見直しを実現し、米の総合的な国境調整措置を堅持すること。
また、関税については、品目毎に柔軟性を確保できる削減方式とすること。
(三) WTO農業交渉は、生産者だけの課題ではなく、国民的な課題であることから、理解促進のための対策を積極的に展開すること。
二、自由貿易協定について
(一) 農林水産物については、品目毎の事情を十分に検討し、国内の関係品目に影響が生じないよう対応すること。
(二) 食料自給率の極端に低い現状や、将来の食料需給に関する国民の懸念に十分配慮し対応すること。