第997号 非常時における地方財政制度の緊急改革を求める意見書
議決年月日：平成21年3月25日
議決結果：可決
非常時における地方財政制度の緊急改革を求める意見書
百年に一度と言われる世界的な景気後退が止まらず、地域経済が未曾有の危機に瀕している中、本県の財政は、県税収入が過去最大の減額となり、今後五年間の収支見通しでは、毎年三百億円を超える財源不足が見込まれるなど、かつて無い危機的な状況を迎えている。
本県は、これまでも職員数の削減や事務事業の見直しなど、徹底した行財政改革に取り組んできているが、少子高齢化の進展に伴う社会保障関係経費の増嵩等により、財政構造の硬直化が進み、歳出の削減は限界に達している現状の中でも、さらなる経済対策を求める県民の声は日増しに強くなっている。
地方公共団体は、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく早期健全化基準等が平成二十年度決算から適用されることなどから、厳しい財政規律を求められているうえ、三位一体の改革による五兆一千億円もの地方交付税の大幅な削減で手足を縛られている中で、必死で地域経済の浮揚策を講じている。
平成二十一年度の地方財政対策では、既定の加算とは別枠で一兆円の地方交付税が増額されたが、地方税収の大幅な減少が見込まれることから、地方の財源不足を解消するためには十分とは言えない状況である。
日を追うごとに地方経済は厳しさを増し、雇用が失われ中小企業が疲弊していく中、偏在性が少なく安定した地方税体系の構築が必要であり、地方消費税の充実を含む地方税改革を緊急に実現すべきである。また、その上でも地域間の財政力格差は生じることから、地方交付税制度により、基本的な行政サービスが提供できるよう、必要な財源が保障されなければならない。
よって、国においては、地方公共団体の財政の窮状を十分認識し、以下の対策を緊急に講じられるよう強く要望する。
記
一 国の経済対策に係る地方負担分については、国の責任において財源措置を講じること。
二 地方交付税の原資は恒常的に不足していることから、地方交付税法における法定率を、地方交付税財源が十分に確保できる率に改正すること。
三 地方公共団体間の財政力格差を是正し、一定の行政水準を維持・確保するため、三位一体の改革で大幅に削減された地方交付税の復元・増額を図ること。
四 国と地方の税源配分五対五を目指して、国から地方への一層の税源移譲を進め、地方税源の拡充強化を図ること。なお、その際は、偏在性が少なく安定性を備えた地方税体系の構築に努めること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十一年三月二十五日
栃木県議会議長 石 坂 真 一
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 あて
内閣府特命担当大臣
（金融経済財政政策）
衆参両院議長