第971号 「嫡出推定」に関する民法の改正等を求める意見書
議決年月日:平成19年10月5日
議決結果:可決
「嫡出推定」に関する民法の改正等を求める意見書
婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に出産した子を一律に前夫の子とする、民法第七七二条の「嫡出推定」の規定により、前夫の子としてしか出生届が受理されないことを理由に、「無戸籍児」の増加が社会的問題となっている。
民法における「嫡出推定」は、子の福祉のため、子の身分を早期に保証しようとする規定であるが、近年の離婚・再婚の増加、妊娠時期や父親の確定を容易とする医学の進歩などに伴い、この規定が、逆に子の福祉を脅かす状況を生じさせる結果となっている。
本年五月七日の法務省通達により、離婚後懐胎である旨の医師の証明書を添付することで、前夫を父としない出生届出が認められることとなったが、証明された懐胎の時期が婚姻の解消又は取消しの日の後である場合に限定されているため、この通達によって救済されるのは一部にすぎないといわれている。
「無戸籍児」の存在は、わが国が批准している「児童の権利に関する条約」が、第七条において「児童は出生の後直ちに登録され、氏名を有する権利、国籍を取得する権利、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利」を保障している主旨にも反するものであり、早期にその解消を図るべき問題である。
よって、国においては、「嫡出推定」に関する民法の改正をはじめ、関連する法制度の見直しを検討するなど、「無戸籍児」の解消に全力を挙げて取り組むよう強く要望する。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成十九年十月五日
栃木県議会議長 石 坂 真 一
内閣総理大臣
法務大臣 あて
衆参両院議長