第892号 WTO農業交渉等に関する意見書
議決年月日:平成14年12月20日
議決結果:可決
WTO農業交渉等に関する意見書
WTO農業交渉は、来年三月末のモダリティー確立に向けて、現在、山場を迎えつつある。我が国は、これまでの交渉の中で、「多様な農業の共存」を基本に、「市場アクセス」の分野や「国内支持」の分野において、農業の多面的機能を含む貿易以外の関心事項の配慮を強く求めてきた。
一方、農産物輸出国グループは、全ての関税を二十五パーセント以下に削減することや、輸入数量の大幅な拡大提案を行っている。しかしながら、こうした提案は、貿易以外の関心事項への配慮を無視するとともに、我が国を含む世界の家族農業を崩壊の危機にさらす懸念がある。
また、我が国と他国との間の自由貿易協定においても、WTO農業交渉における我が国提案内容を十分に踏まえた対応が必要である。
よって、国においては、生産者が将来に自信を持って営農できるよう、左記の事項について適切な措置を講じることを強く要望する。
記
一 WTO農業交渉について
(一)「多様な農業の共存」という我が国提案の基本を達成できるよう、農業の多面的機能などの「非貿易的関心事項」が配慮されたモダリティーを確立すること。
(二)アメリカやケアンズ諸国の提案を断固拒否するとともに、MA制度の是正を含む見直しを実現し、米の総合的な国境調整措置を堅持すること。
また、関税については、品目毎に柔軟性を確保できる削減方式とすること。
(三)WTO農業交渉は、生産者だけの課題ではなく、国民的な課題であることから、理解促進のための対策を積極的に展開すること。
二 自由貿易協定について
(一)農林水産物については、品目毎の事情を十分に検討し、国内の関係品目に影響が生じないように対応すること。
(二)食料自給率が極端に低い現状や、将来の食料需給に関する国民の懸念に十分配慮し対応すること。
右地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成十四年十二月二十日
栃木県議会議長 渡 辺 渡
内閣総理大臣
総務大臣
外務大臣 あて
財務大臣
農林水産大臣
衆参両院議長