第827号 「食料・農業・農村基本法」とその関連施策を求める意見書
議決年月日:平成11年7月1日
議決結果:可決
「食料・農業・農村基本法」とその関連施策を求める意見書
政府は、三月九日「食料・農業・農村基本法案」を閣議決定し、第百四十五回国会に上程した。政府は、この法案を昭和三十六年に制定された「農業基本法」に代わる新たな基本法として、二十一世紀に向けた今後の食料と農業及び農村の各分野にわたる施策の基本理念と基本方向を明らかにしたものとしている。
この新しい基本法に基づく農政が、今日までの経済効率性に重点を置いた農業・農政の体質を抜本的に改め、二十一世紀への持続可能な農業と国土の均衡ある発展を保障するためには、国民が安心して託せる食料供給システムの確立と、そのための国の役割を明確に盛り込んだ法・制度が整備されなければならない。
よって、政府におかれては、「食料・農業・農村基本法」とその関連施策が、国民合意により制定されるよう左記の事項について、積極的に対処されるよう強く要望する。
記
一 食料自給率と主要な農産物の生産及びこれに必要な農地面積の目標を明示すること。この場合の食料自給率の目標は、当面、カロリーベースにおいて五十パーセントとすること。また、そのための国の責任を明確にすること。
二 食料の検査体制や品質表示制度を充実し、安全性の確立を図ること。特に、原産地表示の拡大、遺伝子組替食品の表示、有機農産物の認証・表示制度を早急に確立すること。また、環境保全型農業など、安全な食料生産についての研究と普及を図るとともに、災害補償などの支援措置を行うこと。
三 家族経営農業を基本に、専業・兼業を含めた集落営農など多様な営農形態を支援すること。また、農業生産法人の要件緩和については、事業及び構成員の拡大範囲、株式の譲渡などに厳しい制限を設け、安易な要件緩和を行わないこと。
四 農業経営の安定のため、所得補償政策を導入すること。特に、市場価格導入に伴う農産物価格の暴落に対する所得補償と政府買入れなどの対策を図ること。
五 中山間地域などの条件不利地域での生産活動の維持や国土の保全、景観維持の取組に対して直接支払い制度を実施すること。この制度の導入に際しては、自治体の自主性を生かした取組への一括交付金方式とし、制度の透明性を図ること。
右地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。
平成十一年七月一日
栃木県議会議長 郡 司 征 夫
内閣総理大臣
大蔵大臣
厚生大臣
農林水産大臣 あて
自治大臣
衆・参両院議長
(陳情書)