第1193号 サイバー攻撃対策の充実・強化を求める意見書
議決年月日:令和3年10月15日
議決結果:可決
サイバー攻撃対策の充実・強化を求める意見書
近年、複雑化・巧妙化・国際化するサイバー犯罪やサイバー攻撃は、重要インフラ事業者への攻撃などにより社会基盤を揺るがす大きな脅威となっている。
政府が本年九月二十八日に閣議決定した「次期サイバーセキュリティ戦略」では、サイバー攻撃の脅威として、中国、ロシア、北朝鮮を初めて明記するなど、サイバー空間を巡る情勢は厳しさを増している。
国や地方公共団体、企業や医療機関などの機密情報も窃取の危険にさらされており、本県自治体へのサイバー攻撃においても、栃木県情報セキュリティクラウドを経由する悪質な攻撃については、令和二年度には十万件を超え、また、県の機関や医療機関等を対象としたサイバー攻撃についても、本年の認知件数は増加傾向にある。
英国のシンクタンクの国際問題戦略研究所によると、日本のサイバー能力は、先進国にもかかわらず三段階で最低ランクと評価され、サイバー能力が低く、多くの企業も防衛能力に投資せず、公式のサイバー組織を持たないことも指摘されている。
そのような中、警察庁においては、サイバー事案への対処能力を強化するため、情報収集、分析、対策等を一元的に対応する内部部局として「サイバー局」を、関東管区警察局においては、一定のサイバー事案について捜査を行う「サイバー直轄隊(仮称)」をそれぞれ令和四年度での設置を目指して組織改正に向けた準備を進めることとしている。
これにより、他国との共同捜査がより円滑なものとなり、都道府県の枠組みを超えた広域的な連携により、更なるサイバー事案への対処能力の強化が期待される。
よって、国においては、「サイバー局」や「サイバー直轄隊(仮称)」の組織を編成するに当たり、組織力を最大限に発揮できるような法整備と、人材育成や確保、機材の整備や研究開発など、サイバー攻撃の脅威から国民生活を守るための対策の充実・強化を図るよう強く要請する。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
令和三年十月十五日
栃木県議会議長 阿 部 寿 一
内閣総理大臣
総務大臣
外務大臣 宛て
防衛大臣
国家公安委員会委員長
衆参両院議長