第1190号 学校教育におけるICT化を推進するための意見書
議決年月日:令和3年6月21日
議決結果:可決
学校教育におけるICT化を推進するための意見書
現在、教育現場では、GIGAスクール構想の下、全ての子どもたちを誰一人取り残すことなく、個別最適化された学びを実現するため、児童生徒の一人一台端末及び高速大容量の校内通信ネットワーク整備が進められている。
この構想によって、ICTを活用したオンライン授業やデジタル教科書の活用など、児童生徒の状況に合わせた多様な学びが実現するとともに、業務効率化による教員の負担軽減にもつながるなど、期待が高まっている。
一方で、学校は、教師と児童生徒、児童生徒同士の直接的な関わり合いや多様な体験などを通じた情操教育の場でもあることから、児童生徒の発達段階や学ぶ内容等に応じて、対面授業とオンライン授業を適切に組み合わせていくことが必要である。
また、ICT機器の活用に関しては、教員のICT活用指導力はもとより、ICT機器による個人情報の取扱いや管理など情報漏洩対策も求められており、教員に対する支援の強化が不可欠であるとともに、各自治体で整備した情報端末やシステム等に互換性がない場合、児童生徒の転校等によって学習情報が十分に引き継がれない恐れがあるため、学びが継続できる環境整備が必要である。
さらに、ICTを活用した学校教育の実施に当たっては、高速インターネット回線接続費用及びICT機器の修繕や定期更新など、将来にわたる費用負担も含め、各自治体の財政に与える影響は非常に大きくなることが懸念されている。
よって、国においては、学校教育におけるICT化の推進に向け、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
記
一 システムやソフトウェアの整備、情報端末や通信設備の修繕や定期更新など、学校教育におけるICT化の推進に関する予算の充実・確保を図ること。
二 情報端末の利活用、個人情報の取扱いなど、学校教育におけるICT化の推進に対応できるよう教職員研修の充実を図ること。
三 様々な会社の情報端末とデジタル教科書と個人認証システムの互換性を確保するための統一規格について検討を進めること。
四 「主体的・対話的で深い学び」の充実を図る観点から、紙の教科書と学習者用デジタル教科書との適切な併用の推進を図ること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
令和三年六月二十一日
栃木県議会議長 阿 部 寿 一
内閣総理大臣
文部科学大臣 宛て
衆参両院議長