第1186号 犯罪被害者等支援の充実を求める意見書
議決年月日:令和3年3月23日
議決結果:可決
犯罪被害者等支援の充実を求める意見書
二〇〇四(平成十六)年に犯罪被害者等基本法が成立し、犯罪被害者等は「個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」ことが定められ、犯罪被害者等支援施策は一定の前進を果たした。しかしながら、犯罪被害者等が被害後に直面する問題は多岐にわたっており、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの支援制度の充実・整備は、いまだ十分とは言い難い。
また、より多くの犯罪被害者等が弁護士の支援を受けられるようこれまで以上に制度を充実させることや、見舞金などの早期段階における損害補償といった犯罪被害者等に対する経済的な支援の充実等が求められている。
このような中、本県においては、今年度、「栃木県犯罪被害者等支援条例」を制定し、犯罪被害者等を支える地域社会の形成を目指すとともに、犯罪被害者等支援施策を推進していくこととしているが、こうした条例の制定状況や、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの形態は地域によって大きな格差が生じていることから、より一層国と地方自治体が連携を強化し、犯罪被害者支援の充実を図っていく必要がある。
よって、国においては、次の事項に取り組むよう強く要望する。
記
一 犯罪被害者等が民事訴訟等を通じて迅速かつ確実に損害の賠償を受けられるよう、損害回復の実効性を確保するための必要な措置を講じること。
二 犯罪被害者等に対する経済的支援を充実させるとともに、手続的な負担を軽減する施策を講じること。
三 事件の発生直後から犯罪被害者等が弁護士による法的支援を受けられるよう、公費による被害者支援弁護士制度を充実させること。
四 性犯罪・性暴力被害者のための病院拠点型ワンストップ支援センターについて、全都道府県に一箇所以上設立できるよう支援するとともに、財政的支援を充実させること。
五 地域の実情に応じた支援施策を実施するため、全ての地方公共団体において、犯罪被害者等の支援に特化した条例が制定できるよう支援すること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
令和三年三月二十三日
栃木県議会議長 相 馬 憲 一
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣
法務大臣 宛て
厚生労働大臣
国家公安委員会委員長
衆参両院議長