第1182号 デジタル社会の実現を求める意見書
議決年月日:令和2年12月25日
議決結果:可決
デジタル社会の実現を求める意見書
我が国は、欧米諸国と比較してデジタル化が遅れており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、その現状が浮き彫りになった。特に、行政分野におけるデジタル化の遅れは顕著であり、各種給付金等に係る煩雑な事務手続が混乱を招き、対応の遅れが問題となった。
また、新しい生活様式への対応として、テレワークやオンラインによる医療や教育など、コロナ禍によって国民の社会経済活動の幅広い分野において、デジタル化を加速させることが求められている。
このような中、国は、来年九月にデジタル庁の創設を目指しており、同庁を社会全体のデジタル化推進の司令塔と位置付け、国民の利便性向上等を図っていくとしている。
よって、国においては、国民誰もが日常生活において、安心してデジタル化の利便性を実感でき、誰一人取り残されないデジタル社会の実現に向け、次の事項に取り組むよう、強く要望する。
記
一 法令やガイドライン等により書面や対面・押印が義務付けられている手続について、可能な限り簡易にオンラインで完結できる仕組みを構築するため、法改正を含めた各種対策を講じること。
二 制度の抜本的な見直しや取得手続の更なる簡素化によってマイナンバーカードの普及を促進し、各種手当、給付金、還付金等の支給について、申請不要のプッシュ型のサービス提供を実現させること。
三 行政手続や各種サービス等のアクセシビリティの向上を図るとともに、利用者の年齢や居住地域等によるデジタルデバイドの解消に努めること。
四 複雑・巧妙化するサイバー攻撃から個人情報や機密情報等を守り、詐欺やなりすまし等によるサイバー犯罪を防ぐため、サイバーセキュリティ対策に万全を期すこと。
五 国、地方自治体、民間等が一体となってデジタル化を推進していくために、IT人材を育てるリカレント教育への公的支援の充実・強化など、地方自治体や民間等におけるIT人材の確保・育成の取組への財政的支援を行うこと。
六 地方自治体の情報システムの標準化等、地方自治体の負担が伴う取組の実施に当たっては、十分な人的支援や財政措置を講じること。
七 デジタル化の推進を阻害する規制や制度を見直すとともに、デジタルイノベーションによって登場した自動運転等の新しい分野においては、最先端技術の活用について十分に安全性を確保しながら、国民の利便性向上が図られるよう、適切な規制や制度設計を行うこと。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
令和二年十二月二十五日
栃木県議会議長 相 馬 憲 一
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣
法務大臣 宛て
行政改革担当大臣
デジタル改革担当大臣
内閣府特命担当大臣
(マイナンバー制度)
衆参両院議長