第1176号 新型コロナウイルス感染症対策に関する意見書
議決年月日:令和2年10月9日
議決結果:可決
新型コロナウイルス感染症対策に関する意見書
コロナ禍による個人消費の落ち込みや輸出の減少により、四月から六月までのGDPは年率換算で二十八・一%減と、戦後最悪のマイナス成長となっており、国内経済への打撃は深刻なものとなっている。
民間調査会社の調査によれば、新型コロナウイルス関連での倒産は中小企業を中心に全国で五百件を超えており、今後も資金需要が高まる年末にかけて、倒産や廃業が増える恐れがある。雇用情勢においても、新型コロナウイルス関連の解雇や雇い止めは六万人を超えており、厳しい状況が続いている。加えて、中国をはじめとした諸外国に依存していたサプライチェーンの脆弱性が浮き彫りになり、国内経済の立て直しのためには、サプライチェーンの再構築が急務となっている。
さらに、コロナ禍による医療機関等の経営悪化が深刻なものとなっており、医療体制が崩壊すれば、感染防止対策と経済対策のいずれもが困難なものとなってしまう。
また、学校においては、臨時休業の影響により不足する授業時数の確保
や感染拡大防止の観点から、修学旅行や運動会、文化祭などの学校行事が中止、縮小される事例が見受けられ、子どもたちの情操教育にも大きな影響を与えている。
新型コロナウイルス感染症から国民の生命と生活を守り、感染防止対策と経済対策を両立させ、未来を担う子どもたちの教育を守るためには、更なる対策が必要である。
よって、国においては、次の事項に取り組むよう強く要望する。
記
一 失業者対策や中小企業・小規模事業者等に対する中長期的な支援を行うための財源確保のため、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を増額すること。
二 サプライチェーンの再構築、多元化・強靱化に取り組む企業に対する
支援を充実・強化させること。
三 経営が悪化している医療機関、社会福祉施設、施術所等について、減収補てん等の実効性のある支援を行うこと。また、減収補てんについては、一律の基準で行うのではなく、各施設の減収率等の実態に即して行うこと。
四 秋冬のインフルエンザ流行期に備え、新型コロナウイルス感染症の検査体制を強化するため、行政検査協力機関等への支援を行うとともに、医療現場等のモチベーションを維持するため、薬局従事者等を新たに慰労金の対象とするほか、これまでの医療従事者慰労金についても大幅な上乗せを行うこと。
五 地方自治体が行う医療機関等に対する支援の充実・強化のため、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を増額すること。
六 新型コロナウイルス感染症のような新たな感染症等の発生時においても、子どもたちの学びを保障するため、GIGAスクール構想の早期実現に向けた取組を加速化させること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
令和二年十月九日
栃木県議会議長 相 馬 憲 一
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣
文部科学大臣 宛て
厚生労働大臣
経済産業大臣
経済再生担当大臣
衆参両院議長