第1174号 気候変動対策の推進を求める意見書
議決年月日:令和2年6月12日
議決結果:可決
気候変動対策の推進を求める意見書
近年、世界各地で異常気象による洪水、干ばつ等の自然災害が頻発しており、昨年七月には世界の平均気温が観測史上最高値を更新するなど、地球温暖化が大きな要因の一つとされる気候変動は、我々の生活に深刻な影響を及ぼしている。我が国においても、気候変動の影響と考えられる大雨の頻発化などによる大規模な水害や土砂災害が毎年のように発生しており、平成二十七年九月関東・東北豪雨や令和元年東日本台風では、本県においても甚大な被害が生じている。
気候変動対策は、世界が直面する喫緊の課題であり、温室効果ガスの排出削減対策(緩和策)はもとより、被害の回避・軽減対策(適応策)に、国と地方が官民を挙げて取り組まなければならない。
こうした中、本県においては、今年度から、適応策を推進するための拠点として、「栃木県気候変動適応センター」を設置するとともに、年度末を目途に、緩和策と適応策からなる栃木県気候変動対策推進計画(仮称)を策定することとしている。気候変動の影響が及ぶ分野は多岐にわたっており、適応策の推進には高い専門性が求められることから、本県をはじめ全国で設置が進みつつある地域気候変動適応センターが、今後その役割を十分に発揮するには、膨大な科学的知見を収集・分析し、技術的助言等を通して適応策を推進するための幅広い専門知識や技術が必要となる。
よって、国においては、気候変動対策に取り組む地方自治体が、それぞれの地域の実情に応じた実効性のある対策を推進できるよう、次の事項に取り組むことを強く要望する。
記
一 気候変動の影響は、地域の気候や地理等の自然的状況、産業等の社会経済状況によって異なることから、科学的知見や将来予測などの情報について地域特性を踏まえて分析・提供する等、きめ細かな技術的支援を行うこと。
二 地域気候変動適応センターの技術力向上や、センターが地域の大学等と連携して取り組む調査研究等に対し、専門人材を派遣するなど、十分な人的支援を行うこと。
三 地域気候変動適応センターの体制整備や業務運営並びに地方自治体が主体的に取り組む気候変動適応策に対し、更なる財政支援を行うこと。
四 国が地球温暖化対策計画に掲げた温室効果ガス排出削減目標(二〇三〇年度において二〇一三年度比で二十六%削減)の達成に向け、技術革新を含む抜本的な対策を加速させること。また、地方自治体が主体的に取り組む排出削減対策に対しても、十分な財政支援を行うこと。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
令和二年六月十二日
栃木県議会議長 相 馬 憲 一
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣 あて
経済産業大臣
国土交通大臣
環境大臣
衆参両院議長