第1168号 地域の実情を踏まえた医療確保策の推進を求める意見書
議決年月日:令和2年3月24日
議決結果:可決
地域の実情を踏まえた医療確保策の推進を求める意見書
国は、昨年九月、高齢化の進行に伴い膨張する医療費を抑制するため、全国の公立・公的病院のうち、診療実績が乏しい病院など、再編・統合が必要と判断した四百二十四病院の具体名を公表し、本県では二つの病院が対象となった。
人口減少や少子高齢化が加速し、二〇二五年には団塊の世代が全員七十五歳以上の後期高齢者となる中、社会保障の支え手の減少と相まって医療費の抑制が喫緊の課題であることは間違いないが、全国一律の基準によって医療機関の再編・統合を議論することは、地域住民の不安や不満をあおり、地域医療の現場に従事する医療関係者の士気の低下や反発を招きかねない。
また、公立・公的病院には、山間部や離島などのへき地での医療や、がんや難病等の先進医療など、民間病院で対応するには限界がある医療の提供を担う役割があり、採算性等の観点だけからその必要性を見直すべきではない。
各都道府県では、国が策定を求めた地域医療構想のもとに、医療機関の再編・統合をはじめ、地域に必要な医療を効率的に提供できるよう取り組んでいるところである。本県でも、二〇一六年に策定した「栃木県地域医療構想」に基づき、地域の需要とバランスのとれた医療体制づくりを目指しているところであり、今回のように、国が一方的に地域における医療機関の統合・再編を促すことは、医療費抑制という喫緊の課題が背景にあるとしても、各地域が抱える問題や、地域住民に対して十分に配慮しているのか疑問を抱かざるをえない。
よって、国においては、地域医療構想の推進に当たっては、地域住民の安心を確保し、地域の理解が得られる具体策を提示しながら、地方と丁寧な議論を行い、地域の実情を十分に踏まえた医療確保策を推進するよう強く求める。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
令和二年三月二十四日
栃木県議会議長 早 川 尚 秀
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣 あて
厚生労働大臣
衆参両院議長