第1165号 新たな過疎対策法の制定に関する意見書
議決年月日:令和元年12月16日
議決結果:可決
新たな過疎対策法の制定に関する意見書
過疎対策については、昭和四十五年に「過疎地域対策緊急措置法」制定以来、四次にわたる特別措置法の制定により、総合的な過疎対策事業が実施され、過疎地域における生活環境の整備や産業の振興など一定の成果を上げたところである。
しかしながら、依然として多くの集落が消滅の危機に瀕し、また、森林管理の放置による森林の荒廃や度重なる豪雨・地震等の発生による林地崩壊、河川の氾濫など、極めて深刻な状況に直面している。
本県の過疎地域においても、これまでの計画的な過疎対策の結果、交通体系や生活環境の整備に一定の成果が見られるものの、依然として公共施設の整備・普及水準や産業面において、非過疎地域との格差が認められ、更に、大幅な人口減少とともに、高齢化の進展が予測されている。
過疎地域は、我が国の国土の過半を占め、豊かな自然や歴史・文化を有するふるさとの地域であり、都市に対する食料・水・エネルギーの供給、国土・自然環境の保全、癒やしの場の提供、災害の防止、森林による地球温暖化の防止などに多大な貢献をしている。
過疎地域が果たしているこのような多面的・公益的機能は国民共有の財産であり、それは過疎地域の住民によって支えられてきたものである。
現行の「過疎地域自立促進特別措置法」は令和三年三月末をもって失効することとなるが、過疎地域が果たしている多面的・公益的機能を今後も維持していくためには、引き続き、過疎地域に対する総合的かつ積極的な支援の充実・強化を図り、住民の暮らしを支えていく政策を確立・推進することが重要である。
また、過疎地域が、そこに住み続ける住民にとって安心・安全に暮らせる地域として健全に維持されることは、同時に、都市をも含めた国民全体の安心・安全な生活に寄与するものである。
よって、国においては、新たな過疎対策法を制定し、引き続き総合的な過疎対策の充実・強化に取り組むよう強く要望する。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
令和元年十二月十六日
栃木県議会議長 早 川 尚 秀
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣 あて
農林水産大臣
国土交通大臣
衆参両院議長