第1158号 地方税財源の充実・強化を求める意見書
議決年月日:令和元年10月9日
議決結果:可決
地方税財源の充実・強化を求める意見書
子育て支援策の充実と保育人材の確保、高齢化の進行による医療・介護等社会保障への対応、地域交通の維持など、地方自治体の果たす役割が拡大する中、人口減少対策を含む地方創生に向けた総合戦略の実行、大規模災害を想定した防災・減災対策等、新たな政策課題に直面している。
一方、地方自治体における公的サービスを担う人材が限られる中、新たな行政需要への対応やきめ細かな公的サービスの提供が困難となっており、人材の確保とこれに見合う地方財政の更なる確立が必要である。
今年度の地方財政計画での一般財源総額は、前年度比一.〇%増の六十二兆七千七十二億円と過去最高となったが、幼児教育・保育の無償化など国の政策に対応する財源を確保したものである。社会保障費関連をはじめ地方の財政需要に対応するためには、来年度政府予算と地方財政の検討に当たり、歳入・歳出の的確な見積り、人的サービスとしての社会保障予算の充実と地方財政の確立を目指す必要がある。
よって、国においては、更なる地方の税財源の充実・強化のため、次の事項に取り組むよう強く要望する。
記
一 社会保障や災害・環境対策、地域交通並びに人口減少対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う一般財源総額の確保を図ること。
二 子ども・子育て支援新制度や地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者自立支援、介護・国民健康保険制度の見直しなど、急増する社会保障ニーズへの対応や人材確保を含む社会保障予算の拡充並びに地方財政措置を的確に行うこと。特に幼児教育・保育の無償化に伴う地方負担分財源を確実に確保すること。
三 地方交付税におけるトップランナー方式の導入は、地域の人口規模の差異、各自治体における検討経過や民間における事業展開の状況を慎重に見極め、廃止・縮小を含めた検討を行うこと。また、自治体の基金残高を地方財政計画や地方交付税算定に反映させないこと。
四 森林環境譲与税の譲与基準については、地方自治体と協議を進め、林業・木材産業の盛んな自治体への譲与額を増大させるよう見直すこと。
五 自治体間における税財源の格差是正のため、偏在性の小さい消費税等について、国から地方への税源移譲を行うとともに、各種税制の廃止・減税を検討する際は、自治体財政への影響を十分検討し、代替財源の確保等により、地方財政運営に支障が生じないよう対応を図ること。
六 地方創生総合戦略第二期計画策定にあたり、地方の自主性・独自性のもと創意工夫を凝らし、地域の実情に応じた地方創生に最大限取り組めるよう、まち・ひと・しごと創生事業並びに地方創生関連交付金等必要な財源の拡充及び要件の緩和を図ること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
令和元年 月 日
栃木県議会議長 早 川 尚 秀
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣 宛て
厚生労働大臣
農林水産大臣
衆参両院議長