第1151号 キャッシュレス化の推進を求める意見書
議決年月日:平成31年3月12日
議決結果:可決
キャッシュレス化の推進を求める意見書
世界各国のキャッシュレス決済比率を比較すると、キャッシュレス化が進展している国は四十%から六十%程度であるのに対し、我が国は二十%程度にとどまっている。
キャッシュレス決済が普及しにくい背景として、治安の良さや偽札の少なさ等の社会情勢に加え、消費者のキャッシュレス決済による浪費、個人情報の流出などのセキュリティ等への不安のほか、小売店舗等における端末導入や加盟店手数料に対する負担感等の問題が挙げられている。
国は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック等の開催を見据え、これまでキャッシュレス推進の方針を打ち出し、昨年六月には「未来投資戦略二〇一八」を閣議決定し、「今後十年間(二〇二七年六月まで)に、キャッシュレス決済比率を倍増させ、四割程度とすることを目指す」こととしている。
キャッシュレス化の推進は、人口減少に伴う人手不足への対応、現金取扱業務に係るコスト削減など、事業者の生産性向上につながるとともに、消費者の利便性向上やインバウンド需要の取り込みに加え、データの蓄積によるイノベーションの実現など、経済への大きな効果も期待できる。
よって、国においては、次の事項について特段の措置を講じるよう強く要望する。
記
一 中小・小規模の小売店舗等に対し、キャッシュレス決済導入のメリットを丁寧に説明するとともに、導入・運用に対する支援制度の十分な普及啓発を行い、導入促進を図ること。
二 決済事業者や決済方法が数多く存在していることから、キャッシュレス決済に関する技術的仕様の標準化を行うなど、サービスの統一規格を整備し、小売店舗等と消費者の双方の利便性の向上を図ること。
三 セキュリティ対策を強化するとともに、キャッシュレス決済の安全性、利便性等の更なる理解促進を図るなど、高齢者にも配慮した消費者が利用しやすい環境を整備すること。
四 実店舗等が負担している支払い手数料等のあり方を見直すなど、ビジネスモデル変革のための環境を整備すること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成三十一年三月十二日
栃木県議会議長 五 十 嵐 清
内閣総理大臣
財務大臣
経済産業大臣 あて
内閣府特命担当大臣
(消費者及び食品安全)
衆参両院議長