第1137号 所有者不明土地問題への対応に関する意見書
議決年月日:平成29年12月18日
議決結果:可決
所有者不明土地問題への対応に関する意見書
公共事業のみならず民間事業も含め、事業を実施しようとする場合に、不動産登記簿等の所有者台帳により所有者が直ちに判明しない、または、判明しても連絡がつかない土地(以下「所有者不明土地」という。)が顕在化し、その結果、事業の中止や中断、対象用地の変更等、土地の利活用に至らないケースが多数発生している。また、所有者不明土地は、管理が行われていない場合がほとんどであり、景観や治安の悪化、土砂災害や不法投棄等の発生が危惧されている。
そのような中、今年十月、民間有識者でつくる「所有者不明土地問題研究会」から、現在の持ち主をすぐに特定できない土地が全国で昨年の四百十万ヘクタールから、二〇四〇年には七百二十万ヘクタールまで拡大するとの試算結果が公表された。
国では、今年八月に国土交通省が設置した「国土審議会土地政策分科会特別部会」において、所有者不明土地問題に関する検討を進め、五年以上の利用権を設定して、公益性のある事業目的に使えるようにすること等を内容とする法案を、来年の通常国会に提出することを目指している。また、十月には、法務省が「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会」を設置し、人口減少社会を見据えた登記制度・土地所有権の在り方等の中長期的な課題について、民事基本法制における論点や考え方の整理を進めている。
このような国の動きはあるものの、所有者不明土地は、都市部に限らず全地域に存在し、急速に拡大しているため、その対応は急務である。
よって、国においては、地方創生を進める観点からも、所有者不明土地の問題を早期に解消するため、土地所有者の財産権に配慮しつつ、より迅速に対応できる制度を速やかに創設するよう強く要望する。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十九年十二月十八日
栃木県議会議長 小 林 幹 夫
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣 あて
農林水産大臣
国土交通大臣
衆参両院議長