第1102号 労働者保護ルールの順守を求める意見書
議決年月日:平成26年10月14日
議決結果:否決
労働者保護ルールの順守を求める意見書
我が国においては、働く者の約九割が雇用関係のもとで働く「雇用社会」である。この雇用労働者の安定的な雇用と公正な処遇の下で安心して働くことができる環境を整備することが、デフレからの脱却、ひいては日本経済・社会の持続的な成長のためには不可欠である。
現在、政府が来年の通常国会へ提出しようとしている「残業代ゼロ法案」を含む「労働者派遣法」の改正について、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で議論がなされようとしている。第一次安倍内閣では、「ホワイトカラー・エグゼンプション」と称し、法律案の要綱作成まで至りながら、世論の理解を得られないことなどから廃案となった。
「成長戦略」の名のもと、「解雇の金銭解決制度」や「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入、解雇しやすい正社員を増やす懸念のある「限定正社員」の普及、労働者保護の後退を招くおそれのある「労働者派遣法」の見直しなど労働者を保護するルールの後退が懸念される。
よって、国においては労働者保護ルールの順守に努めるべく、次の事項について留意するよう強く要望する。
記
一 労働者が不当解雇の訴えに勝訴しても、企業が金銭を支払えば職場復帰の道が閉ざされてしまう「解雇の金銭解決制度」や解雇しやすい正社員を増やす懸念のある「限定正社員」制度の普及、長時間労働を誘発するおそれがある「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入などは慎重な議論に努めること。
二 低賃金や低処遇のまま派遣労働の拡大につながらぬよう、派遣労働者のより安定した直接雇用への誘導と処遇改善に向けた法改正を行うこと。
三 雇用・労働政策に係る協議は、ILOの三者構成主義に基づき、労働者代表委員、使用者代表委員、公益委員で構成される労働政策審議会で行うこと。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十六年十月十四日
栃木県議会議長 螺 良 昭 人
内閣総理大臣
内閣府特命担当大臣
(規制改革)
内閣府特命担当大臣 あて
(経済財政政策)
厚生労働大臣
衆参両院議長