第1091号 狂犬病予防対策の強化に関する意見書
議決年月日:平成26年3月25日
議決結果:可決
狂犬病予防対策の強化に関する意見書
世界保健機構(WHO)によれば、狂犬病による死者数は、毎年、世界で五万五千人以上にのぼり、そのうち、三万人はアジア地域である。
現在、狂犬病の清浄国・地域は、日本をはじめオーストラリア、ニュージーランド、ハワイなど極めて限られた地域である。
昨年七月に狂犬病の清浄国であった台湾において、犬と野生動物のモニタリング調査により、五十二年ぶりに野生のイタチアナグマ三頭が狂犬病と確定診断され、今年一月現在で三百十七頭の発症が確認されていることに加え、犬においても昨年九月に一頭の発症が確認されており、地理的に近い我が国にとっては決して対岸の火事ではない。
一方、北海道をはじめとする一部の地域では、寄港する外国船舶で飼育されている犬の逃亡による狂犬病の侵入が懸念されるなど、狂犬病がいつ国内で発生しても不思議ではない状況にある。
狂犬病は発症すると百%死亡する治療法のない死の病であり、ひとたび発生すれば大混乱に陥ることは明らかであり、大変危惧されるところである。
よって、国においては、狂犬病予防対策の啓発の強化、監視体制の整備充実のため、次の事項について特段の措置を講じるよう強く要望する。
記
一 海外における発生状況等の実態を把握し、国民に向けた正しい狂犬病の知識と予防法の普及啓発など注意を喚起する施策の強化を行うとともに、犬の飼い主に対しては狂犬病予防注射の必要性を様々な媒体を活用して呼びかけるなど、狂犬病予防注射率の向上に向けた啓発を強化すること。
二 国内に侵入した動物の狂犬病発生を早期に発見するため、平常時におけるモニタリング調査などの監視体制の整備・運営を行うこと。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十六年三月二十五日
栃木県議会議長 三 森 文 徳
内閣総理大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣 あて
環境大臣
衆参両院議長