第1071号 厚生年金基金制度の抜本改正を求める意見書
議決年月日:平成24年6月11日
議決結果:可決
厚生年金基金制度の抜本改正を求める意見書
AIJ投資顧問株式会社に運用委託されていた約二千億円にのぼる資産の大半が消失したとされる事件は、委託元の多くが厚生年金基金等の企業年金であり、本県では、四つの厚生年金基金が被害を受けた。被害を受けた厚生年金基金においては、今後、急激な財政悪化が、基金運営のみならず企業経営にも甚大な影響を及ぼすと懸念されている。
特に、厚生年金基金は、厚生年金の支給を代行しており、厚生年金基金を解散する場合、代行部分にかかる積立金を国に返上しなければならないが、積立金に不足がある場合、厚生年金基金を構成する企業が連帯して責任を負うことになる。そのため、企業が負担増に耐えられず、連鎖倒産する危険性が増大している。
また、厚生年金基金の九割は予定利率を五・五%に据え置いているが、現在の市場実勢では運用が予定利率を下回り基金運営に困難を抱える厚生年金基金も少なくない。中小企業が八割を占める厚生年金基金は体力に乏しいため基金運営が企業経営にも影響を与えることが懸念されている。厚生年金基金にかかる問題は、厚生年金の代行制度を通じて厚生年金制度の根幹に直結しており、抜本的な対策が必要である。
よって、国においては、年金制度に対する不安を払拭し、安定した年金制度を構築するため、下記の項目について早期に実現を図るよう強く要望する。
記
一 厚生年金の代行返上にあたり、厚生年金基金を構成する個別企業が負う責任の範囲を限定し、連鎖倒産の危険を回避できる制度に改めること。
二 厚生年金基金の運営状況が企業経営に悪影響を与え続けることにならないよう厚生年金基金の解散要件を緩和すること。
三 投資顧問会社に対する関係省庁の管理・監督体制を強化するなど再発防止策を講じること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十四年六月十一日
栃木県議会議長 橋 文 吉
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣 あて
内閣官房長官
衆参両院議長