第1056号 風評被害の払拭等に向けた支援を求める意見書
議決年月日:平成23年10月14日
議決結果:可決
風評被害の払拭等に向けた支援を求める意見書
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う大量かつ広範な放射性物質の拡散は、県民の健康への不安を煽るとともに、様々な産業分野にも被害を与えている。
特に本県産業の要である農林業においては、農産物や肉牛の出荷停止などにより甚大な被害が生じただけでなく、出荷停止が解除され知事が安全宣言したにも関わらず、本県農林産物の買い控えが続くなど、農家はこれまでにない危機的な状況にある。
また、観光関連産業においても、状況は深刻である。本県での放射性物質の人体への影響値は、国が示した基準値を下回っているが、放射性物質が拡散されたとの報道等により、日光・鬼怒川・那須・塩原などの観光地では、観光客数が大きく落ち込んでおり、世界遺産を有する日光でさえ、外国人観光客の姿が見られなくなるなど、極めて厳しい状況にある。
現在、本県では震災からの復旧・復興に最優先で取り組んでいるところであるが、農林業や観光関連産業において、風評被害に苦しむ関係者を支援するシステムを構築するにあたり、国の取組は未だ十分とは言えない状況にある。
そもそも原子力発電については、国がその安全性を保障して推進してきた国策であり、全面的に国が責任を負うべきである。
よって、国は、十分な補償や救済措置を講じるよう万全の対策を期すとともに、一日も早い風評被害の払拭や経営安定を実現するため、下記の支援策を講ずるよう強く要望する。
記
一 国は早急に本県の農林産物や肉牛の安全宣言を行うとともに、農家が将来にわたって当地で営農を持続できるよう、万全な放射性物質対策を実施すること。
二 農林業や観光関連産業の風評被害に対応するため、特別交付税を活用した基金について、東北地方被災三県に加え栃木県も対象とすること。
三 東京電力(株)が観光関連事業者等に対して行う損害の賠償について、迅速かつ適正な保護が図られるよう、国の責任において万全の措置を講ずること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十三年十月十四日
栃木県議会議長 神 谷 幸 伸
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
農林水産大臣 あて
経済産業大臣
内閣官房長官
国家戦略担当大臣
内閣府特命担当大臣(防災)
衆参両院議長