第1046号 保育制度改革に関する意見書
議決年月日:平成23年3月15日
議決結果:可決
保育制度改革に関する意見書
現行保育制度は、国と自治体の公的責任、最低基準の遵守、公費による財政保障と応能負担を制度の柱にしており、すべての子どもの保育を受ける権利を保障してきた。
しかし、現在国において検討されている「子ども・子育て新システム」は、すべての子どもに切れ目ないサービスを保障するとしながら、市場原理による「保育の産業化」に繋がる恐れがあり、児童福祉法に謳われる「児童福祉」としての保育の主旨を大幅に後退させるものである。
仮にこの新制度が導入されれば、国の責任を市町村に押し付けることとなり、保育所の保育の質の低下を招き、保育の地域間格差が広がるばかりでなく、家庭の経済状況により子どもが受ける保育レベルにも格差が生じるとともに、保育従事者の処遇の低下など、社会に大きな混乱を引き起こすものである。
また、元々の目的や機能の違いなど、それぞれの成り立ちも運営形態も異なる保育所と幼稚園とを一体化する「幼保一元化」に、拙速な結論を出すことは、保護者や現場に不安と混乱を招くこととなる。
よって国においては、子どもの権利を最優先に、誰もが安心して子どもを生み育て、働き続けられる保育制度の拡充を図られるよう、次のとおり強く要望する。
記
一 児童福祉法第二条及び第二十四条の理念に基づき、公的保育制度を堅持・拡充すること。
二 市町村が責任を持って待機児童解消に向けた取組を行うことができるよう、必要な財政措置を行うこと。
三 保育所最低基準については国の責任のもとで実施し、保育の質の低下に繋がる規制緩和等は行なわないこと。
四 民間保育所運営費の一般財源化は行わないこと。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十三年三月十五日
栃木県議会議長 野 田 尚 吾
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
衆参両院議長