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件名

第1045号 環太平洋経済連携協定に拙速な参加をすることに反対する意見書

本会議議決結果

議決年月日:平成23年3月15日
議決結果:可決

内容

          環太平洋経済連携協定に拙速な参加をすることに反対する意見書

 政府は、昨年十一月に「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し、環太平洋経済連携協定(TPP)について関係国との協議を開始する姿勢を明確にしており、自由貿易化に向けた動きを急速に高めようとしている。
 この背景には、TPPに参加することにより、日本のアジア市場が拡大し、国内経済を活性化させる目的にあるとされているが、交渉参加国に日本を加えたGDPの内需総額のシェアでは、日米で九十五%を占め、アジアはわずか〇・三%と、アジア市場の内需は小さいため、日本の輸出先となりうるアジア市場はないことから、TPP参加が本当に日本の国益にかなうかどうか、さらなる検証が必要であることは明白である。
 我が国は、これまでの自由貿易協定の交渉で、製造業分野においては繊維、皮革・履物などの重要品目を、サービス業分野においては金融、医療などを開放困難として位置付けてきたが、日本の全品目関税率の平均は、世界的に見ても決して高くはない。
 しかし、TPPは、関税撤廃交渉の他にも、金融、サービス、労働の移動など、さまざまな事項が対象となることから、国民皆保険の崩壊や地域経済への波及など、国民の暮らしにとって計り知れない影響が懸念されている。
 とりわけ我が国の農業に対する影響は甚大であり、「平成の開国」などという聞き心地の良い言葉に幻惑され、実際の関税撤廃は、およそ十五年先になるという楽観的観測で交渉に参加する事態になれば、農業は壊滅的な状況に陥るだけでなく、国民生活に関する多くの分野に影響を及ぼし、食料自給率の向上や雇用の増大を目指す政府方針とも反する結果となることが、十分に予測されるところである。
 よって、国においては、農業振興や食料安全保障をはじめ、国民生活や経済全体に与える影響を十分考慮し、国民への説明責任を果たすとともに、食と農など国民生活を守る国家戦略等のないまま、拙速に参加することがないよう要望する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。

   平成二十三年三月十五日

             栃木県議会議長 野 田 尚 吾

 内閣総理大臣
 総務大臣
 外務大臣
 厚生労働大臣   あて
 農林水産大臣
 経済産業大臣
 衆参両院議長

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